ジーコもエール。フラメンゴがクラブW杯「伝説のチーム」を目指す (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by Reuters/AFLO

 その直後、左サイドを崩されて決定機を作られ、さらにそのまた2分後、左SBフィリペ・ルイスの判断ミスから再び左サイドを突破され、クロスをサレム・アル・ドサリに押し込まれて失点した。

 フラメンゴはフィリペ・ルイスとCBパブロ・マリの左サイドに弱点があり、アルヒラルに再三、突破されてピンチを招いていた。失点後、ジョルジ・ジェズス監督は、左サイドの守備の強化と攻撃の活性化を狙って、フォーメーションを4-2-3-1から2トップの4-1-3-2に変えたが、さしたる効果はない。その後は一度も決定機を作れないまま、前半を終えた。

 実は、ジェズス監督は昨年6月から今年1月末まで、アルヒラルを率いていた。本人も、「今のチームの土台を作ったのは自分だ」と語っており、主力選手の特徴は熟知している。

 ハーフタイムで、「後半、向こうのプレー強度は必ず落ちる。スペースへ走り込んで決定機を作れば、逆転できる」と選手たちを鼓舞した。

 その言葉どおり、後半のアルヒラルのスピードと運動量に陰りが見えた。するとフラメンゴは4分、右サイドに深い位置へ走り込んでパスを受けたFWブルーノ・エンリケが折り返し、ウルグアイ代表MFジオルジアン・デ・アラスカエタが押し込んで同点に追いつく。

 29分、不調のジェルソンの代わりに経験豊かで勝負強いMFジエゴが入ると、コパ・リベルタドーレス決勝リーベルプレート戦と同様、決定的な働きをする。33分、ジエゴが右サイドのスペースへ正確なパスを送る。ラフィーニャのニアサイドへのクロスを、ブルーノ・エンリケが頭で押し込んで逆転。さらにその4分後、ジエゴが左サイドのスペースへパスを差し入れ、ブルーノ・エンリケからの低くて強いクロスが、相手のオウンゴールを誘発した。

 フラメンゴは前半こそ苦しんだが、ハーフタイムのジェズス監督の的確な指示、ブルーノ・エンリケの高い個人能力、勝負どころで投入されたジエゴの効果的なプレーで、結果的にはアジア王者に力の差を見せつけた。

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