安部裕葵が「偽9番」で評価急上昇。1月の好機でトップ昇格もあるぞ (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 スペインの大手スポーツ紙『マルカ』は、安部のプレーを絶賛している。0~3の4段階評価で最高の三ツ星をつけた。三ツ星は他にひとりもおらず、マン・オブ・ザ・マッチと言えるだろう。

 安部は第11節のアンドラ戦から7試合連続で先発出場を果たしている。序盤は左右のアタッカーを担当することが多かったが、得点力が足りないチーム事情もあって、偽9番に抜擢されることに。その7試合で4得点し、チーム内での評価を高めた。チャンピオンズリーグ(CL)のインテル戦ではトップ招集も噂されたほどだ。

 順風満帆にも映るが、安穏とはできない。

 たとえばバルサBの中心選手であるプッチは、トップでのプレーを強く要求。果たされない場合は、「移籍も辞さない」という構えを示している。バルサBはあくまでステップアップの場、ずっと居続ける場所ではないのだ。

 バルサBは事実上「U-20バルサ」で、シーズン中もユースから有望な選手が引き上げられてくる。実際、ラ・ヌシア戦ではユース所属のアメリカ人サイドアタッカー、コンラッド・デ・ラ・フエンテが招集され、先発でプレー。トップ昇格できない選手は外に出され、認められた者だけがトップに上がる。17歳のアンス・ファティはすでにトップでプレーし、主力不在のCLインテル戦で決勝点を叩き込むなど、台頭は目覚ましい。

 バルサBは、チーム内の競争が熾烈を極める。約4億円の移籍金で獲得したオランダの新星MFルドヴィト・ライスでさえ、レギュラーを取り切れていないほど。実力だけがものを言う世界だ。

 安部とポジションを争う19歳のFWアベル・ルイスは、2017年U-17W杯ではスペインを決勝に導くなど、十代では欧州屈指のFWと言える。スペインU-21代表であり、昨シーズンの最終節にはトップデビューも飾っている。大柄な体を生かした柔らかいポストプレーが持ち味だ。

 しかし、ラ・ヌシア戦でアベル・ルイスは、終了間際での途中出場にとどまり、試合をクローズする役に回っていた。

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