板倉滉は監督に「なぜ?」と聞きに行った。
初の先発落ちに納得いかず

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO



 ところが今節、12月14日のADOデン・ハーグ戦で、板倉はベンチスタートになってしまった。

 全国紙のひとつ『アルヘメーン・ダッハブラット』は、板倉とメミセビッチがセンターバックのコンビを組むと予想。これまで板倉と中央の守備を固めてきたミケ・テ・ウィーリクは右SBに回ると見られていた。

 板倉はこれまでオランダリーグで16試合、KNVBカップで1試合、ずっと先発フル出場を果たしている。しかも、フローニンゲンの失点数は、AZ、アヤックスに次いで少ない。チームへの貢献度の高かった板倉にとって、スタメン落ちは不可解なものであった。

 実は、ユトレヒト戦後のオフ明けの最初の練習から、板倉はレギュラー組から外れてしまっていた。納得のいかない板倉は「なぜですか?」と、デニー・バイス監督に聞きに行ったという。

「別に調子が悪いから外したわけではない」。バイス監督の返答は、板倉にとって納得できないものだった。だが、ともかく頭を切り替えて練習にフォーカスした。

 こうしてベンチスタートで始まったデン・ハーグ戦は、1−1で迎えた前半終了間際、右SBのデヨファイシオ・ゼーファイクがレッドカードで退場してしまった。板倉はすぐさまベンチを飛び出し、アップを開始した。しかし、後半開始のキックオフが鳴ってもバイス監督は動かず、MFアゾル・マツシワが右サイドと中盤の底をスライドしながら巧みに守った。

 81分、バイス監督が判定に対して烈火の如く怒りを表わして抗議すると、レッドカードを受けて退席となってしまった。タッチライン際でアップをしていた板倉は、引き上げていくバイス監督を遠くに見ながら「俺、どうなるの?」という表情をしていた。

「監督から『行く準備をしろ』と言われて2回ぐらいアップしていたんですけど、監督が退場してしまったので、『交代を切れなくなったりするのかなあ』って(思っていた)」

 監督代行のアドリー・ポルダーファールト・コーチが板倉を呼んだのは、ようやく90分になってから。アディショナルタイムも含めて、およそ4分間のプレーに終わった。

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