メッシが去り際までに求められること。「後継者」育成か伝説数の更新か (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Getty Images

 ふたりはライバル関係とも言えるが、殺伐としたものではない。お互いが影響を与え合い、切磋琢磨し、そこで「系譜」が生まれる。

 メッシの後を継ぐべき選手は、17歳のアンス・ファティだろう。

 10歳の時からラ・マシア(バルセロナの下部組織)で育ったファティは、全身がサッカーセンスのような選手で、難しいプレーを簡単にやってのける。今年7月に契約し、移籍違約金は1億ユーロ(約120億円)に設定された。8月にはクラブ史上2番目の若さでトップデビュー。同月の試合でクラブ史上最年少得点を決めた。そして12月には契約を2022年まで延長し、違約金は1億7000万ユーロ(約200億円)にアップ。チャンピオンズリーグ、グループリーグ最終節では、メッシが不在の状況で、インテルの夢を打ち砕くミドルシュートを蹴り込んだ。

 実はファティがデビューした日、メッシは抱擁をかわす写真をSNSにアップしている。アルゼンチン人スターがそうした行動に出ることは珍しい。もともと同じポジションの選手に対しては対抗心が強く、その自負心が彼の力の源泉でもあったのだ。

 ファティはメッシの"庇護"を受けられるのか――。メッシがファティをかわいがる裏には、ファティの父親のコンサルタントとして、メッシの兄が契約していることも指摘される。メッシの兄がファティをバックアップするため、弟に助けを頼んでいても不思議はない。そのあたりの事情を揶揄する声も少なくない。

 ただ、どんな理由であれ、ファティがメッシのサポートを受けられるなら、それは朗報だろう。

 メッシの時代もいつかは幕を下ろす。冒頭のコメントにあるとおり、トップレベルではあと3年程度。バルサの英雄として誰かにバトンを渡す。それもレジェンドとして大きな仕事だ。

「(35歳で迎える)カタールワールドカップは、レオにとってひとつの指標となる。変わらずプレーできるなら、きっと続ける。でもスピードが落ちたら、続けることはない」

 元バルセロナのリバウドの言葉である。

 一方で、バルサのチームメイトであるセルヒオ・ブスケッツは言う。

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