アヤックス「不条理なCL敗退」にファン沈黙。勝ち点10も稼いだのに... (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 今季のアヤックスは昨季のチームに比べて、完成度でははるかに劣る。なにせ、1年前のアヤックスは、CL予備戦・プレーオフの時点でサプライズを予感させるようなチームを作り上げていた。それに比べて今季は、徐々に選手のパズルをはめ込みながら、チームとしての完成形を探していく面白みがある。成長の過程は今後、年明けのヨーロッパリーグで楽しむことになるだろう。

 だが、そんな悠長なことを言っていられない事情もある。現行のCLのフォーマットはそろそろ終わり、早ければ2024年にはヨーロッパ・スーパーリーグが生まれる可能性が高い。スーパーリーグはビッグクラブ優遇の色合いが濃く、オランダのような中堅リーグ勢は取り残されるかもしれないからだ。

 アヤックスはエドウィン・ファン・デル・サール社長のネームバリューを生かしてロビー活動を進めながら、CLでも結果を残すことによって、スーパーリーグ誕生の際にはその一角に潜り込みたいという野望を持っている。そういう意味でもアヤックスとしては、今季もせめてベスト16には進みたいという気持ちが非常に強かった。

 しかし、一番よくないのは、負けを引きずることだ。12月15日には、オランダリーグ2位のAZとの首位攻防戦がある。両チームの差はわずか勝ち点3しかなく、ホームのAZが勝てば優勝争いの行方がわからなくなる。

「CL敗退のショックを拭い去るのは簡単ではない。だが、我々はプロフェッショナルだ。木曜日まではガッカリしていてもいいが、金曜日の練習からはAZ戦に向けて、しっかり気持ちを切り替えないといけない」

 バレンシア戦後、アヤックスのエリック・テン・ハーフ監督はチーム立て直しを誓った。

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