アヤックス「不条理なCL敗退」にファン沈黙。勝ち点10も稼いだのに... (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 バレンシア戦でもアヤックスの攻撃には、速さ、爆発力、攻撃の奥行きがなかった。ネレス、プロメスを同時にケカで欠いた影響は、アヤックスにとって大きすぎた。結果、チャンスメーカーのハキム・ツィエクのパフォーマンスも下がってしまった。

 サッカーには、監督の意図とは無関係に、選手同士に阿吽の呼吸が生まれてチームの大きな武器になることがある。アヤックスにおいてツィエクとプロメスの関係は、その最たるものだ。

 11月だけで、ツィエクの蹴る鋭いクロスに対してプロメスがファーでゴールを決めたことが5度もあった。あまりに息のあったツィエクとプロメスのコンビネーションに、「フットボール・ツインズ(サッカーの双子)」という言葉もオランダで生まれた。

 また、ツィエクはネレスとのコンビネーションも熟成させていた。ネレスもプロメスもいないヴィレムⅡ戦とバレンシア戦でツィエクが精彩を欠いたのは、けっして偶然ではない。

 アヤックスのCLグループステージ敗退は、11月5日に行なわれたチェルシーとのアウェーゲームで、一時は4-1とリードしながら、最終的に4-4で引き分けた試合が転換点になったのではないだろうか。

 恨めしいのは、4-2で迎えた68分の出来事だ。チェルシーに与えられたPKのシーンで、ジョエル・フェルトマンとデイリー・ブリントのCBふたりが同時にレッドカードとなり、ひとつのプレーで5重罰(PK、退場2名、出場停止2名)を受けた。この判断にオランダ人は怒り狂い、SNSは大炎上。この試合を勝ちきっていれば、アヤックスは最終節を待たずしてグループステージ突破を決めていただろう。

 この試合、アヤックスは数的不利でチェルシーに押されながらも反撃し、終盤にはあわや勝ち越しゴールを決めそうになるなど、逆境でも彼らのサッカー哲学をプレーで表現した。だからアヤックスには、「不可能を可能にするかもしれない」という期待を抱いてしまうのである。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る