南野拓実は健闘。順当すぎる結果の
CLグループリーグに新潮流

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFP/AFLO

 最後まで2位争いがもつれる展開になったのは、アタランタが2位に滑り込んだC組、アトレティコがレバークーゼンに競り勝ったD組、ザルツブルクがナポリを逆転する可能性がゼロではなかったE組、そしてドルトムントとインテルが争ったF組となる。

 健闘したのはF組のザルツブルクだ。ナポリがゲンクに敗れ、自らがリバプールに勝利すれば、2位に滑り込む可能性があった。ホームでのリバプール戦の結果は0-2で、チームは敗退したが、南野拓実はゴール前で惜しいチャンスを演出するなど、それなりに活躍した。欧州各紙の採点を見ても、ザルツブルクのアタッカー陣の中で、南野は最上位に推されていた。

 CLにおける活躍は、選手の価値を高めることにつながる。来季、ザルツブルク以上のクラブから引きがあったとしても不思議はない。ザルツブルクにとっては惜しい話だが、南野個人にとっては悪い話ではない。

 一方、グループリーグで強さが目立ったチームはといえば、圧倒的な成績を収めたチームはバイエルンになる。唯一の6戦全勝で、得点24、失点5(得失点差+19)も、他の追随を許さない断トツの成績だ。昨季の準優勝チーム、トットナムと戦った最終節(ホーム)でも、その爆発力をいかんなく発揮。スコアこそ3-1ながら、内容的には2-7で大勝したアウェー戦と同様の開きがあった。

 スピーディーで多彩。右からも左からもバランスよく攻撃したバイエルン。ブンデスリーガでは現在7位と低迷しているが、スパーズ相手に2試合通算10対3で大勝する姿に、潜在能力の高さを見た気がする。

 マウリシオ・ポチェッティーノからジョゼ・モウリーニョに監督を代えたトットナムは、モウリーニョらしさが加味され、ますます堅守速攻型になった印象だ。だが、欧州一を狙うには、スタイル的に古い気がする。ビッグクラブを向こうに回し、1勝はできても、2勝、3勝と勝利を重ねることは難しいのではないか。

 昨季、優勝したリバプールには安定感を感じる。決勝トーナメントに備え、本気を出していないと見るか、昨季から横ばいとみるか、微妙なところだが、悪い方向には進んでいない。

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