2カ月強にわたり出番のない武藤嘉紀は誓う。「歯を食いしばるしかない」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images



 心の支えになっているのは、一時は出場機会の少なさに苦しみながらも、定位置を掴み直した選手たちの存在だ。スペイン人の右SBハビエル・マンキージョは7試合連続で出番がなかったが、直近3試合で先発出場。アルゼンチン人CBのフェデリコ・フェルナンデスも4試合にわたって出番のない状況が続いたが、レギュラーの座を掴み直して7試合連続で先発中だ。

 何かのきっかけで、状況が変わるかもしれない----。武藤は自分自身に言い聞かせながら、黙々とトレーニングに励んでいるという。

「試合に出てないので出たい。ただ、それを決めるのは監督なので。その来たるべきチャンスを(待ちたい)。フェルナンデスやマンキージョなど、ずっとベンチ外でやっていた選手がこうやってまたいきなりチャンスもらって、結果を出している。自分もそれを信じて」

 もちろん、出番がないことに悔しさはある。だが、武藤の表情に悲壮感はなく、むしろ厳しい状況が続いていることで開き直った印象だ。武藤も前向きに言う。

「ケガ以外でこういう経験はなかったので。今は逆に......開き直ったじゃないですけど、とにかく今は歯を食いしばるしかない。ここでどれだけ耐えられるか。

 ここまで耐えたあとに結果を出せれば、これほどうれしいこともない。やっぱり試合に出ることができれば、結果を出せるという自信もあるからこそ、それを示したい。チャンスを失わないように。とにかく前向きにやらないといけないと思っています」

 ここからプレミアリーグは、年末年始の過密日程に突入する。チーム総出で試合に臨む必要があり、武藤にとってもチャンスはゼロではない。

 本人も、「この期間は試合もありますし、ケガ人が出てくることもある。ここでもうダメだったら、その時考えればいい。今から考えるというよりも、とにかくまずはここで追い込む。来たるべきチャンスでいいパフォーマンスができるよう、身体にムチを打っていきたい」と力を込めた。

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