本田圭佑、ボランチでの満足度は50点。
自らチームの戦術を解説

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 11月29日、フィテッセは2点のリードを守りきれず、2−3で敗れてしまった。これでフィテッセは5連敗だ。ハーフタイムの笛が鳴り、インタビュールームに向かうと、レオニド・スルツキがテレビカメラに向かって「私はフィテッセの監督を辞める」と言っていた。

「サッカーは人生と同じで、何か小さなことで壊れてしまう。今日は悲劇だった。キックオフから40分、私はヒーローだった。しかし、90分後、私はゼロになった」(スルツキ監督)

ボランチとして出場したフィテッセの本田圭佑ボランチとして出場したフィテッセの本田圭佑 第15節を終えて、フィテッセの順位は9位。

 フィテッセが8分に奪った先制ゴールは、サイドチェンジとスルーパスを交えてストライカーのティム・マタフズがフリーになり、技ありのループシュートで決めたもの。チームとしての狙いと個の力が融合した、鮮やかなゴールだった。

 一旦自陣に後退してブロックを作ったフィテッセは21分、GKレムコ・パスフェールのフィードから左サイドアタッカーのブライアン・リンセンが抜け出して2−0。その後、2ボランチの一角を担う本田圭佑のボールタッチが増え、40分までフィテッセが試合をコントロールする展開になった。

 ここまでは、とてもリーグ戦で4連敗しているチームとは思えぬ、自信に満ちた戦いぶりだった。

 しかし42分、不運な反則から奪われたPKでヘーレンフェーンに1点を返されると、フィテッセは一気に崩れていってしまった。まるで雪が太陽の光を浴びて溶けていくように、フィテッセの選手たちから自信が消えていき、中盤でボールを受けるのを恐れるかのように、攻撃と守備が前後分断されてしまった。

 スルツキ監督の言う「何か小さなこと」とは、ディフェンダーが不運にも相手と交錯し、PKを獲られてしまったことを指すのだろう。そこから、勝利から遠ざかっているチームのメンタルのもろさが浮かび上がってくる。

 やがて、本田がインタビュールームに姿を現すと、スルツキ監督の辞任について、「個人的には『今日負けたら(監督の辞任が)あり得るな』と思って挑んだ。彼がいたから(フィテッセに)来たという意味では、状況を救ってあげられず非常に残念に感じている」とコメントしてから、こう続けた。

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