原口元気はジレンマに直面。宮市亮は「どうしていいかわからない」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

「相手も相当なテンションできたから、こういうゲームになると思っていたけど、予想以上にうまくやれなかった。でも、こんなもんだよね。うちもロングボールしか蹴らないし」

 自嘲気味に話す原口は、これを解決するためには大きなプラスアルファが必要だという。

「6番(攻撃を組み立てる役割のMF)が必要だね。今は6番(の選手)が受けないし、つなげないから、俺ら(前線)のところにボールが入らない。入った時はシンプルにやって次の攻撃につなげようとしていたんだけど......」

 前節のダルムシュタット戦は、原口がその6番のポジションで出場した。「チームとしても攻撃がうまくいったと思うし、自分としても手応えがあった。いつもの倍くらいボールに触った」(原口)うえに、今季初ゴールも挙げた。ブンデスリーガ公式サイトによれば、ダルムシュタット戦の原口のタッチ数は82。この日のザンクトパウリ戦は48にとどまっている。

 だが、試合に勝ったのはタッチ数が少ないザンクトパウリ戦だった。内容への手応えと結果は必ずしも結びつかない。

「ジレンマですよね。後ろに下がるのもアレだし、前にいてもボールは入ってこないし」

 原口自身はボールを持って主導権を握るサッカーをしたいと考えているが、「もしかしたら、そうではない人もいるのかもしれないとも思う」と言う。

「これはこれで見ているほうは楽しく、盛り上がるのかもしれないけどね。理想はいいサッカーをして勝つことだけど、現状、自分もどのポジションで出るか(もわからない)......」

"いいサッカー"にはほど遠い試合が続くなか、10番はもがいている。

 一方のザンクトパウリは、ホームであるにもかかわらず、時には6人が最終ラインに並ぶようなサッカーで敗れた。さすがにサポーターも我慢がならなかったようで、試合後には珍しくブーイングが飛んだ。

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