鎌田大地にとって「忘れられないゴール」になった殊勲の2得点 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO



 反撃の狼煙を上げたチームに、鎌田はゴールで応えた。

 1点目はペナルティエリア手前、左サイドの位置でパスを受けると、中央へカットイン。2タッチ目でマーカーの体勢を崩し、3タッチ目で左足を一閃----。同点ゴールを決めると、後半19分にも自軍CKのこぼれ球を右足できれいに叩き込んだ。鎌田は得点場面を、こう振り返る。

「本当に何も考えずにうまくプレーできた。得点が入るときは、大体ああいう感覚。自然体というか、とくに考えずにできた。僕自身、プロ入りしてから1点うまく獲れると、2点が獲れていたので。だから、僕にとっては1点目がとても重要だった。1点獲ったあとに2点目も狙おうと思っていた。本当にうまく獲れてよかった」

 鎌田にとっては"待望のゴール"でもあった。

 国内リーグ12試合中8試合で先発するも得点はなく、ヨーロッパリーグでもネットを揺らせずにいた。ここまでの得点は、8月11日に行なわれたDFBポカール(ドイツ杯)のSVヴァルトホーフ・マンハイム戦で挙げた1ゴールしかない。アタッカーでありながらネットを揺らせないという悔しさと同時に、チームに対して申し訳ない気持ちを抱えていたという。

「プロに入ってからここまで点を獲れなかったことは、今季が初めて。チームにはすごい迷惑をかけていた。今日は対戦相手もビッグクラブで、点を獲るタイミングとしてはベストのチームだったと思う。これからしっかりブンデスリーガでも点を獲り続けていければ。スタートは出遅れたけど、我慢強く待ってくれていたと思う。これから得点を重ねていければいい」

 昨シーズンは、ベルギーのシント・トロイデンへのレンタル移籍で武者修行を積んだ。シント・トロイデンでは不動のレギュラーとしてフル稼働し、シーズン通算で16ゴールをマーク。選手としてひと回りもふた回りも成長したところを見せ、今季はフランクフルトに復帰した。

 チームメイトとして側で見てきた長谷部も、「ベルギーから帰ってきてから、大地は非常に成長した姿を見せている。それは皆が認めているところ」と、鎌田の成長を肌で感じているという。

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