2019.11.29

「メッシ依存症」からの脱却なるか。
献身的なシャイボーイがカギを握る

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO



 かつてのバルセロナであれば、2点リードした状況で相手が前がかりになれば、圧倒的なパス回しでその勢いをいなし、相手の戦意を失わせて試合を終わらせることができた。しかし、エルネスト・バルベルデ監督率いるバルセロナは、ボールを握ることにこだわらず、引いて守ってからカウンターを狙う傾向が強すぎる印象を受ける。

 たとえば、この試合におけるバルセロナのボール支配率は、前半に54%を記録しながら後半は38%に低下。パス本数も、前半の376本から236本に減少した。最終的にボール支配率でドルトムントの54%を下回り、パス本数でも109本も下回ったことは、後半のバルセロナの劣勢を証明するスタッツと言える。

 もちろん、それも戦い方のひとつではあるが、メッシとスアレスがほとんど守備に貢献できないなか、8人で守りきるのはさすがに無理がある。実際、この試合でも3点にリードを広げた10分後に失点を喫するなど、押し込まれる時間帯が長引くと、どうしても守りきれなくなる状況に陥る傾向は否めない。

 そして、それに拍車をかけたのが、バルベルデ監督の保守的な采配だった。

 たしかにデンベレの負傷で交代カード1枚を使ってはいたが、アルトゥーロ・ビダルを中盤に投入したのは失点直後の78分のこと。対するドルトムントのルシアン・ファブレ監督は後半76分にウカシュ・ピシュチェクに代えてダン=アクセル・ザガドゥを投入し、システムを4−2−3−1から攻撃的な3−4−3に変更。その1分後のゴールにつなげたアグレッシブな采配とは、実に対照的だった。

 さらにファブレ監督は、85分にマリオ・ゲッツェを投入してアタッカーの枚数を増やした一方、バルベルデ監督はその後の交代策を用意していなかったのか、ようやくアディショナルタイム1分になってからスアレスに代えてムサ・ワゲを起用。グリーズマンを前線に移し、右MFにワゲを配置して中盤の守備を強化するにとどまった。