「メッシ依存症」からの脱却なるか。献身的なシャイボーイがカギを握る (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO



 デ・ヨングからの縦パスを自陣で受けたメッシが一気に加速すると、ドリブルで敵陣深くまで前進しながら相手を引きつけて、左サイドでフリーになったアントワーヌ・グリーズマンに抜群のタイミングでパス。これをグリーズマンが決めて3−0とし、その時点で勝負は決した。

 これまでも試合を重ねるごとに改善の跡が見られていたメッシとグリーズマンのコンビネーションの問題についても、この試合ではよりポジティブな印象を見る者に与えたはずだ。とくにこの試合でベンチスタートとなったグリーズマンのパフォーマンスは目を見張るものがあった。

 前半26分に負傷したウスマン・デンベレに代わって左サイドに入ったグリーズマンは、まずは出場3分後に先制ゴールの起点となった。そして2−0とリードした前半35分には、前線左サイドでの果敢なプレッシングから相手のビルドアップを封じると、スタンドに向かって大きな声を出しながら気合いのガッツポーズ。シャイな男が珍しく感情をむき出しにしたそのパフォーマンスは、後半67分に決めたゴールの予告ともいえる印象的なシーンだった。

 相手ボール時にシステムが4−3−3から4−4−2に移行するバルセロナにおいて、左サイドでグリーズマンがプレーする意味は大きい。時に最終ラインまで下がって対峙する相手サイドバックをマークする献身的な守備は、デンベレはもちろん、昨季のフィリペ・コウチーニョにもできないプレーだ。

 言うまでもなく、本来グリーズマンはストライカーだ。当然、ゴール前でのプレーを好むはずだが、新天地では常にメッシの動きを確認しながらポジションをとって、攻守のバランスをとることを最優先するプレーが目立つ。そういう意味で、「MSG(メッシ、スアレス、グリーズマン)トリオ」が今季のバルセロナの生命線だとすれば、その最大のキーマンがグリーズマンであることは間違いなさそうだ。

 いずれにしても、この試合ではジェラール・ピケ(出場停止)、ジョルディ・アルバ(負傷欠場)、ネルソン・セメド(負傷欠場)らを欠きながらポジティブな勝利を手にしたバルセロナだが、その一方で気になる点もあった。それは、2−0とリードした後半のゲーム運びである。

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