C L強豪対決はドロー。優勢だったレアルが終盤に混乱した要因とは (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 そのサラビアにゴールをもたらしたのは、左SBフアン・ベルナトの折り返しだった。ベルナトが左サイドの高い位置に進出することができなかったことが、この試合ここまでPSGが苦戦した要因のひとつだった。その前方で構える快足ムバッペは孤立気味になり、満足な活躍ができなかった。レアル・マドリードの右サイド、バルベルデとカルバハルのコンビがよかったことを示す事象になる。

 両チームの差は基本的にはかなり接近した関係にある。80分までレアル・マドリードが2-0でリードしても、バランスが少し乱れると、それに乗じてPSGが本来の力を発揮する。間違いが一切、許されないムードが伝わってきたという意味で、この試合はハイレベルな一戦だった。そしてその関係が乱れると、一気に同点まで行ってしまう。これもまたハイレベルな試合だったことの証明になる。試合後、頭を抱えたのはジダン監督の方だろう。

 とはいえ、前節すでにグループ突破を決めているPSGに続き、レアル・マドリードもこの引き分けで突破を決めた。CL3連覇を達成し、ひと休みした感のある昨季より、期待は持てそうだ。

 一方、毎度優勝候補に挙げられながら、過去7年、最高位がベスト8に甘んじているPSGはどうなのか。その上を目指すなら、後半の頭から今季CL初出場を飾ったネイマールの爆発が欠かせない条件になる。この試合では1トップ下で出場したものの、プレーはいまひとつ。左サイドの方が適役ではないかと思うが、そこにはムバッペがいる。どこにどうきれいに収めるのか、注目したい。





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