後任監督に大物の名前がちらほら。
不振のブンデス2強に絶えない雑音

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 より深刻なのは、そのバイエルンと首位争いを演じるべきドルトムントだろう。直近のバイエルン戦では4−0で敗れ、現在6位に沈んでいる。

 バイエルン戦後、『ビルト』紙は「誰がドルトムントを崩壊させた? 選手か監督かクラブ幹部か」と、犯人探しでもするかのような見出しで記事を配信した。記事では選手に50%、監督に30%、クラブ幹部に20%の責任があるとしている。

 選手に関しては、最大の問題点として「心臓が小さい」ことを挙げている。というのも、今季のドルトムントはアウェーで6戦して1勝2敗3分けと、やけに内弁慶ぶりが目立つからだ。バイエルン戦やCLのような注目が集まるビッグマッチで実力を発揮できないのも難点だ。

 クラブの責任とは、戦力補強に失敗したことを指す。今季は1億3000万ユーロ(約156億円)をかけて、ユリアン・ブラント、マッツ・フンメルス ニコ・シュルツ(いずれもドイツ代表)、ベルギー代表トルガン・アザールを獲得したが、ストライカーを獲得することができなかった。ちなみにロベルト・レバンドフスキ(現バイエルン)が去って以降、ドルトムントには生粋のストライカーがおらず、それが成績の低迷につながっていると考えるファンも多い。

 だが、ここへきて大きくなっているのは、戦術家として知られるルシアン・ファブレ監督への疑問の声だ。ファブレは昨シーズンから指揮を執り、今季開幕前には、2021年まで契約を延長したばかりだ。

 そのひとつは、ファブレのドイツ語力のせいでロッカー内での理解が不十分だというもの。ファブレはフランス語圏のスイス人で、確かにドイツ語が得意ではない。ある試合のハーフタイムに、ポルトガル人のラファエル・ゲレイロにフランス語で指示を与えたが、夢中になって話しているあまり、マルコ・ロイスにもフランス語で指示を与えていた。ロイスはドルトムント出身の生粋のドイツ人。「ロイスはまったく理解してなかったよ」とゲレイロは明かしている。

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