2019.11.21

ジョージ・ベストとクライフ。
ドリブルで時代を熱狂させた伝説の名手

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by AFLO

 アウトの切り返しは逆足ウイングの定番である。右利きの左ウイング、左利きの右ウイングの得意技になっている。左足ならクリス・ワドル(イングランド)、ゲオルゲ・ハジ(ルーマニア)、デヤン・サビチェビッチ(モンテネグロ/旧ユーゴスラビア)。右足はロナウジーニョ(ブラジル)、フランク・リベリー(フランス)、ティエリ・アンリ(フランス)あたりだろうか。カットインしてシュート、ラストパスという流れになる。

 こちらも多くの候補がいるが、アウトサイド部門の優勝は、アリエン・ロッベン(オランダ)としたい。

 右サイドで縦にドリブルしながら、左足アウトでカットインというロッベンのスタイルはあまりにも有名だが、引退するまでずっと有効だった。この体勢になったら誰も止められなかった。そのまま縦に突破する裏芸が効いていた面もあるが、それ以上に看板のカットインが圧巻なのだ。

 左足のアウトでタッチしながら間合いを計り、縦へ行くと見せかけて中へ入っていくのは前記したジダンと同じだが、ロッベンの切り返しは角度が深い。自陣へ戻っていくぐらいの角度で切り返す。

 そこはジダンもそうなのだが、ロッベンが特別なのはそのあとのキックだ。ドリブルの進路としては相手ゴールから離れていきながら、左足の巻き込むようなキックでニアでもファーでも正確なシュートを叩き込む。シュートが入るのだからクロスボールにも変えられる。

 わかっていてもロッベンの切り返しを止められないのは、あまりにも角度が大きいので守備側にとっては「圏外」へ出られてしまうからだ。切り返し対策としては、残り足で刈りとるのが定石である。ロッベンも逆を突いて切り返しているので、守備者の左足と重心は流れてしまうが、残っている右足でボールを引っかけられる可能性は残る。

 ところが、切り返しが深いので右足で刈れる範囲をボールが通らない。ただ、ここまで深く切り返すと、次のプレーもやりにくいものだが、ロッベンはそこから即時にシュートやパスを繰り出せるのでどうにもならないのだ。