2019.11.13

タイサッカーと日本人選手の意外な現状。
元代表でさえ活躍は難しい

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao
  • photo by AP/AFLO

2013年からタイでプレーを続けている村上一樹「僕が来た当時は、1部の下位チームはホントに弱かったですが、いまはそういうチームはなくなりました。全体のレベルは間違いなく上がっていると思います。代表チームでいえば、最近はベトナムやマレーシアも力をつけてきていますが、リーグのレベルは東南アジアではタイが断トツで高いと言われています。チャナティップが日本で活躍して注目されていますが、若くてうまい、似たような選手も多く、今後チャナティップ以上の選手が出てきても不思議じゃない。

 ただ、最近は代表チームの人気が上がる一方、クラブチームの人気は下がっていて、お金をかけてでも強くしたいというチームはひと握り。たとえば、4、5年前は2万人の観客が入っていたスタジアムも、今季は2000人くらいしか入っていなかったりする。ネット動画で簡単に試合が見られるようになったことなどもあると思いますが、観客はめちゃ減っています」

 かつては、Jリーグで結果を残せず、タイに来て高給を手にし、バンコク中心部に与えられたジムやプール付きのコンドミニアムで、快適な生活を手にしていた選手も多くいた。もちろん、所属クラブや選手によって待遇は異なるが、そうした例は確実に減っているという。

「僕はJ2の岐阜から、チェンライに同じくらいの年俸で来て、毎年上がっていました。ただ、日本人選手がタイでかなりお金をもらっているかと言われると、そうでもないですよ。僕に限って言えば、岐阜よりはいいけど、というくらい。いま所属しているチャイナートはお金がなく、家は平屋で部屋にはベッドとクーラーとWiFiだけ。テレビも冷蔵庫もないですから(笑)。もちろん細貝さんやマイクは元代表という実績もあるし、僕とは違うと思いますけどね」

 日本人選手が減った理由のひとつとして、多くの選手がタイに来たものの、力を発揮できなかったケースが多かったことも否定できない。

「J2の岐阜をクビになった僕が言うのもあれですが、タイに来れば誰でも活躍できるかといえば、そうでもない。J1でバリバリやっていた人でも、活躍しなかった人もいますからね。こっちに来れば外国人選手という扱いだし、環境に馴染めず結果を出せなければ、シーズン中でも契約を切られます。