吉田麻也は語気を強める。「日本はアジアのマンCのようにならないと」

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Nikkan sports/AFLO

 サウサンプトンが苦しい状況に置かれている――。

 11月9日に行なわれたプレミアリーグ第12節のエバートン戦で、サウサンプトンは1-2の敗戦を喫した。この結果、試合前に残留圏の17位につけていたエバートンと、降格圏の18位サウサンプトンの勝ち点差は6ポイントに広がった。勝ったエバートンは15位に順位を上げ、敗れたサウサンプトンは19位に転落した。

エバートン戦後、キルギスに向けて出発した吉田麻也エバートン戦後、キルギスに向けて出発した吉田麻也 なにより心配なのは、サウサンプトンの調子が一向に上がってこないこと。第5節のシェフィールド・ユナイテッド戦を最後に、国内リーグの7試合(6敗1分)で勝利がない。この中には歴史的な惨敗となったレスター戦(0-9)も含まれており、サウサンプトンは暗く長いトンネルから抜け出せていない。

 そして、日本代表の吉田麻也も、リーグ戦2試合連続のベンチスタートとなった。DFの吉田に最後まで出番はなく、ピッチの外で試合終了のホイッスルを聞いた。険しい表情で取材エリアに姿を見せると、チームの課題を次のように話した。

「戦術的にチグハグなのは事実なんですけど、それをエクスキューズにせず、自分たちがやらないといけないことをひとつひとつやり、目の前のファイトに勝っていくことが大事だと思う。だから、一概に監督のせいだけにできない。選手たちもそれを理解する。自分たちが置かれている立場と自分たちの質を客観的に見て、判断し、泥臭く戦わないといけないのかなと思います」

 気になるのは、選手たちの動きから自信が感じられないことだった。ひとつひとつのプレーに迷いが見え、攻めの形はハッキリせず、守備も球際の寄せが甘かった。

 シュート数は、エバートンの24本に対し、サウサンプトンはわずか4本。今季はエバートンも調子を大きく落としているが、それでもサウサンプトンは彼らに試合の主導権を握られた。

 そんな厳しい状況に陥ると、本来頼りになるのは経験豊富なベテラン選手のはずである。しかし、若手重視のラルフ・ハーゼンヒュットル監督の采配はこの日も変わらなかった。守備の柱である31歳の吉田には出番を与えず、勝負強さが持ち味の32歳FWシェーン・ロングにいたってはベンチ外だった。

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