大迫勇也が復帰。先発のポジション奪還へ口にしたポジティブな言葉 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

 この離脱の時点まで、大迫は公式戦5試合に先発し4得点していた。これまでのシーズンとは違い、単に1レギュラー選手というだけでなく、真のエースとして活躍が見込めるシーズンになりそうな匂いがぷんぷんしていた。

 コーフェルト監督からの信頼も抜群で、サイドでの起用はせず、トップかトップ下、いずれにせよ中央でプレーするという約束を話し合いの末に取り付けたと、大迫も明かしていた。得点が取れない、ゴールに絡めない選手にそんな約束はしないはずだ。指揮官の信任を得ていることは明らかだった。

 それだけに、シーズン序盤の長期にわたる離脱に、チームは大きく落胆したことだろう。ブレーメンには、今年1月、アジアカップから大迫が負傷を抱えて帰ってきたという、一種のトラウマがある。今回の負傷も、クラブ側が当時と重ねて見てしまっても仕方がないようなスケジュールで起きた。

 直接の原因として発表されたわけではないが、ウニオン・ベルリン戦直前の9月10日に行なわれた日本代表のアウェーでのミャンマー戦の負担は、かなり大きかったと伝え聞く。代表ウィーク特有の過密日程と長距離移動に加えて、ミャンマーでは豪雨に見舞われ、ピッチはぬかるんでいた。田んぼのようになったピッチは踏ん張りがきかず、ケガをしないようにプレーするので精一杯だったという。そんな代表ウィークから戻ってきた最初の試合での途中交代だった。

 長めに発表された離脱期間だが、実際に大迫が練習に戻ったのは負傷から3週間半ほど経過した頃だったという。ハイデンハイム戦後の大迫は、好感触を語るのと同時に、再発を防ぎたい思いを強調した。

「せっかく治したのに、また再発するのももったいないので。『復帰は時間をかけて』とクラブとも話をしたし、シーズンは長いので、これからですね」

 ポジションを奪い返すために、早く復帰したい気持ちがあるのは当然だろう。負傷前は絶好調だっただけに、焦る気持ちもあったかもしれない。だが、「好調な時のケガはアンラッキーだったのでは?」と聞いてみると、大迫は一風変わった角度から、ポジティブにこう語った。

「調子のいい時にケガをしたから、(周囲に好印象が残っているので)治っても使われるんじゃないですか」

 微笑みながら話す様子は頼もしかった。まもなく全開の大迫勇也が見られるのは間違いない。

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