安部裕葵、バルサBで存在感。だがトップ昇格へ残された時間は少ない (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 安部は左サイドから中央へカットインするプレーに自信があるのだろうが、クラブは右サイドでも起用している。ピッチのどこでもアドバンテージを得られることで、相手の対応を上回るプレーができるように仕向けているのか。スペインのトップレベルでは、得意な形がひとつでは、すぐに研究されて読まれてしまうのだ。

 スペインのトップで勝ち抜けるプレースタイルを確立させる、そのプロセスにあるとも言えるが、時間はあまりない。この1シーズンが正念場だ。21歳になってもバルサBでプレーする選手はいるが、例外的なケースなのだ。

 すでにトップデビューしたアンスが、ユース、バルサBの応援で"はしご"をしていた。この連帯感がラ・マシアの強さか。スペインの下部組織出身の選手は、トップに上がっても、自分がどこから来たかを意識させられる。アンスはトップチームでベンチを温める試合が続いているだけに、仲間の奮闘から力をもらおうと思ったのかもしれない。トップにたどり着いてからも、気が遠くなるような競争が続く。

 これでバルサBは2部昇格プレーオフ圏内の4位に浮上した。安部は出場機会を重ね、先発を取り戻し、力を証明し続けるしかない。




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