苦悩する武藤嘉紀。監督の去就次第では、冬に移籍の可能性も (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 ところが、新指揮官のブルースはスピードが売りのゲイルを非常に気に入っている。ブルース監督が英2部のハル・シティやアストン・ビラを率いていた際、ゲイルの獲得を何度も試みたほどである。要するに、"指揮官好み"のFWが3人、今季からチームに加わった格好だ。

 開幕当初は、キャロルとゲイルがケガで戦列を離れていた。だが、このふたりが故障から復帰すると、武藤が登録メンバーから外れるようになった。練習でもCFの位置に入っているのは、ジョエリントンとキャロル、ゲイルの3人。武藤は守備タスクの多いサイドMFに回されていると言う。

「チームは今、基本1トップ。1トップ以外やらない選手が3人いますから。(自分のことは)1トップとは考えられていないですね。練習でも、サイドの右か左をやっています」

 サイドMFには、今夏に加わったアラン・サン=マクシマンと、冬の移籍期間にやってきたミゲル・アルミロンのふたりがレギュラーの座に君臨している。サイドMFを本職としない武藤は、ここでもスタメンから遠のいている。

 武藤としては「ケガもしてないし、状態もいい。練習でもいい」との強い自負があり、監督の起用法にどうしても納得がいかない様子だった。そこで、記者から「1月に移籍期間になるが、決断を下すこともあるか」と質問が飛ぶと、言葉を慎重に選びながら次のように答えた。

「もちろん(可能性はある)。なんて言うのかな...うーん......(言葉を選ぶのが)難しいな......。このプレミアリーグで試合に出て、やるのが一番ですけど、そうじゃなくても他にリーグはいっぱいある。

 もちろん、このリーグが最高峰ではあるけれど、自分が試合に出ないと間違いなく自信も失っていきます。悪いプレーをして、『こいつ通用しない』と思われて弾かれるなら、それは自分のせいだと思うけど。こればかりはもう......どうしようもない。

 昨季に関しては、自分のせいでした。ケガのタイミングも悪かったし、アジアカップに行ってしまい、その時にチームの先発メンバーが固まってしまったので。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る