レアル、バルサはCLで格下に辛勝。序盤はスペイン勢の低調がやばい (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 かつてと違ったところは、攻守が、攻める人と守る人にハッキリ分かれていたことだ。高級感のない田舎くさいサッカー。ひと言でいえばそうなる。FWにはアザールが加入。アザールはバルサに今季加わったアントワーヌ・グリーズマンと同レベルの、準バロンドール級の一流選手である。

 そのアザールを左に配し、真ん中にカリム・ベンゼマ、右サイドに下部組織に所属するブラジル出身の18歳、ロドリゴ・ゴエスを並べたFW陣の出来が特段、悪かったわけではない。出場停止のルカ・モドリッチに代わってインサイドハーフで出場したウルグアイ代表選手、フェデリコ・バルベルデのプレーも上々だった。

 にもかかわらず、うまくいっていないように見えたのは、ダニエル・カルバハル(右)、マルセロ(左)の両サイドバック(SB)が、攻撃に絡めなかったことにある。具体的に言うならば、アザール、ロドリゴと高い位置でコンビネーションを発揮する機会が少なかった。

 SBはいわば攻守の連結役だ。カウンターではないサッカーを展開しようとしたとき、彼らと両ウイングの絡みは不可欠になる。特に好ましくなかったのが、左のマルセロとアザールの関係だ。アザールは個人で相手を剥がす力はあるが、SBと協力しながら局面を打開するプレーは得意ではない。前所属のチェルシー、そしてベルギー代表でもそうした傾向は見え隠れしたが、もうワンランク上のレアル・マドリードに入ると、それはより鮮明になる。

 したがって、レアル・マドリードの攻撃は散発的だった。よく言えばショートカウンターになるが、ボールを支配する強者らしさをはっきすることはできなかった。54%対46%という支配率にそれは表れている。アウェーながら「2強2弱」の2弱に入るガラタサライに54%の支配を許す姿は、優勝候補の本命に推しにくい姿と言えた。1-0というスコアは、今後が心配される文字通り辛勝だった。

 アウェーでスラビア・プラハと対戦したバルセロナも、危なっかしい戦いぶりだった。こちらも相手は弱者だ。F組(バルサ、ドルトムント、インテル、スラビア・プラハ)にあっては泡沫候補である。

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