CL優勝を狙うパリとユーベに、
この先必要な進化とは?

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中山 トゥヘルの理想は、昨季のCLグループステージ、ホームでのリバプール戦(2-1パリが勝利)でしょうね。ネイマールにもしっかりと守備のタスクを与え、選手全員がハイテンションで与えられた戦術を遂行する。でもそれは、崖っぷちに立たされた状況でないと、なかなかやってくれないというのが悩ましいところです(笑)。

小澤 あの試合では、相当に粘りの守備をしていましたよね。ネイマールでもあれだけのプレスバック、守備のハードワークができるのだと驚きました。

中山 しかも、相手の3トップを封じながら電光石火のカウンターもはまりました。個人的には、あの試合がMCNプラスD(ディ・マリア)を戦術的に最も有効に使ったトゥヘルのベストマッチだったと思います。

倉敷 パリはどこかマドリーと似たところがあって、適当に流しても普段は勝ててしまうポテンシャルがあるので、どこかで選手も依頼心が出たり飽きてしまうことがありますね。ベスト8を突破すれば選手たちは特別なモチベーションを得て、戦う集団になることは間違いないのですが。

中山 そこからどこまで勝ち上がれるかは、監督力ですよね。ジダンはその辺のコントロールが抜群に上手です。手綱を緩めておきながら、ここぞというタイミングで選手に鞭を入れる。果たしてトゥヘルにそれができるのか、そこも今季の見どころですね。もっとも、パリにとってはベスト8に辿り着くことが最初のハードルですけど。

<駒は十分のユベントス
サッリ監督がどのように進化させるか>

倉敷 不本意ながらパリに残留することになったネイマールの活躍も含めて、今季のパリはいろいろな注目ポイントがありますね。

 では次にユベントスに話を移しましょう。ここは、新監督のマウリツィオ・サッリがユベンティーノに愛されるのかどうかが、いちばんの興味ですね。

小澤 倉敷さんはどう見ていますか?

倉敷 就任当初はきっと居心地はよくなかったと思います。ユーベのライバルである元ナポリの監督だったサッリをユベンティーノが暖かく迎えたとは思えないからです。ですから、サッリは勝つことでチームを自分の色に染めるだろうと見ていました。そのうえで、チームのボス的存在のジョルジョ・キエッリーニやレオナルド・ボヌッチが自分の言うことを聞いてくれれば、手腕を発揮する環境が整います。

 現在のユーベにはサッリが好きなタイプの選手が何人もいます。中盤でいえばサミ・ケディラ、ロドリゴ・ベンタンクール、ブレーズ・マテュイディたちですね。ナポリで見せた中盤の構成もある程度計算できると思います。前線ではパウロ・ディバラも甦りつつありますし、ゴンサロ・イグアインも復活しています。個人的にはアドリアン・ラビオとアーロン・ラムジーの補強が大きいと思っています。彼らがいることによってマッシミリアーノ・アッレグリ時代とは異なるサッカーも提示しつつアントニオ・コンテのインテルを倒してみせた。次第にファンの心をつかみつつあるように思えます。

 サッリが頼りにすべきはジャンルイジ・ブッフォンですね。彼がクラブに戻ってきてくれたことは、サッリにとって大きなプラスだと思います。

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