CL優勝を狙うパリとユーベに、この先必要な進化とは? (2ページ目)

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倉敷 新戦力についてはいかがでしょう? たとえば新戦力のマウロ・イカルディは3人に割って入ることができるのか。またパブロ・サラビアをどのように使うのか。

中山 選手層は確実にアップしたと思います。イカルディ、アンデル・エレーラ、サラビア、イドリッサ・ゲイェ、アブドゥ・ディアロ。そして何といっても正GKにケイロル・ナバスを迎えたことが最大の補強です。また、シーズン序盤戦でカバーニとエムバペを欠いたなか、イカルディの加入で3番手に降格したかに思われたマキシム・シュポ=モティングが予想外に大活躍しました。明らかに昨季より駒は豊富になっています。

小澤 ナバスの加入は大きいですね。CLを3連覇したときのレアル・マドリーの正GKですから、経験値も高い。今年で33歳になりますがシュートストップ時の反応はまだまだいいですし、チームに勝ち点をもたらすビッグセーブもコンスタントにあります。逆に彼を失ったマドリーはティボー・クルトワが当たらないこともあって、早くも"ナバス・ロスト"を嘆く声が出ています。

中山 ただ、そのナバス以外でいうと、新加入選手でスタメンを張れる選手がいるかというと、意外といないんです。ここまで大活躍しているゲイェにしても半レギュラーで、本当はトゥヘルとしてはナポリのアランのようなクラスの守備的MFがほしかったんです。そうすれば、大一番でマルキーニョスをボランチではなく最終ラインで使えますから。

倉敷 パリはCLのマドリー戦で完勝しましたが、本来のトリデンテであるカバーニとエムバペがケガ、ネイマールもサスペンションで3人が揃って欠場していました。トゥヘルにとってはやや扱いにくそうな3人がいなかったことで、自身の考える戦術をチームに落とし込みやすかったように見えました。イカルディもサラビアも忠実だった。しかし、ここで結果を出してもフロントはトゥヘルの好きにはやらせないでしょうから、前線のトリオが戻ってきたらどうなるのか。いかがですか?

中山 そこも含めて、全員が揃いそうな11月にならないと本当の姿は見えないでしょうね。少なくとも、ここまではチームとして戦術の構築とブラッシュアップはそれほど進んでいません。たとえば、昨季はシーズン前半戦から4-3-3、4-2-3-1、3-4-2-1など、試合ごと、あるいは試合中にシステム変更をするのが頻繁にありましたけど、今季はほぼ4-3-3で放置した状態で、どちらかといえばトゥヘルが選手に自由を与えて、それぞれの能力を見極めているように見えます。

倉敷 なるほど、柔軟ですね。

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