マンネリを打破できるのか。
プレミア2強のシーズン序盤を考察

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小澤 ペップは、以前からスペインのメディアに「メッシがいないチームだとCLで優勝できない監督だ」と言われています。やはりCLの戦いは、計算できるチームを作れていても、ここ一番という時のインテンシティが高い試合では、その計算できる部分がコントロール不能になってしまい、カウンターを受けたときに脆さとなってしまいますからね。昨季のスパーズ戦もそうだし、その前のリバプール戦もそうでした。

倉敷 教えるサッカー、教えられるサッカーには限界があるということですね。シティが勝っても不思議ではないけれど、優勝するイメージも持ちにくい。ペップは超一流の監督だから興味もあるし、期待もできますが、リバプールが持っているような圧倒的な攻撃力がない分、勝ち切れず引き分けてしまう危険性がもうひとつ本命に推しきれない理由です。

中山 たしかにリーグ戦を勝つことと、CLを勝つことは、その方法論も少し違っていますからね。以前、ペップがCLよりプレミアを勝つほうが難しくて価値が高いといった発言をしていましたが、その発言自体がトーナメントに対する苦手意識のある証拠なのかもしれません。小澤さんがおっしゃったように、とくにインテンシティが高いチームには確実に苦戦する傾向があります。

小澤 そういうタイプのチームに激しいプレッシングを受けると、センターバックのミスなどで失点してしまい、ズルズルと相手のペースに飲まれてしまいます。

中山 日頃トレーニングでペップから細かい指示を受けて、それを守ろうという意識が強くなりすぎてしまい、試合中に戦況を見極めて選手が自分で判断する余白みたいなものが少なくなっているのかもしれません。

小澤 バルサでもそうでしたけど、おそらくペップにはダニ・アウベスのようなタイプの選手が合っていると思います。「最終的にプレーするのは選手」みたいな考えを持つ選手がいたほうが、ペップのチームは強くなると思います。言うことを聞かないわけではなく、理解したうえで最終的にピッチ上では自分の判断、責任でプレーできる選手のことです。ペップ・バルサでもアウベスの大胆な攻撃参加やチームとして求められていないクロスは、相手にとって予想できないもので脅威になっていました。監督が求めていることだけを実行してくれる選手では相手の予想の範囲ですから。

中山 いろいろな部分で、ペップは長期政権には向かないタイプの監督ですね。明らかにクロップ監督とはタイプが違う。それだけに、2人の対決が面白いわけですけど。

倉敷 クロップ対ペップ。プレミアのタイトル争いもそうですが、今季のCLもまた両監督に注目が集まりそうですね。

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