マンネリを打破できるのか。
プレミア2強のシーズン序盤を考察

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倉敷 最大のライバルであるシティと目下6ポイント差。でも相手のクオリティを考えれば少しもセーフティリードではありません。いつクラブのOBたちが「CLは捨ててもいい」と言い出すことやら。しかし、クロップは絶対に欧州のタイトルをあきらめてしまうタイプの監督ではありません。狙えるタイトルはすべて全力を尽くして狙いにいく闘将です。

 今季のリバプールを見ていると、負けないけれど、楽勝のゲームばかりではなく、フィルジル・ファン・ダイクの負担が増しているように思えます。CL第2節のザルツブルク戦などは、彼が精神的に最も消耗したゲームではないでしょうか。世界最高評価の選手がバタバタと3失点するなんて、プライドが許さなかったことでしょう。リバプールのサイドバックは、トレント・アレクサンダー・アーノルドにしてもアンドリュー・ロバートソンにしても、極端に攻撃的なプレーをするので、中盤センターのファビーニョが相手の攻撃を潰せないと、一気にファン・ダイクのところにしわ寄せが来てしまいます。

中山 その試合でファン・ダイクとコンビを組んだのはジョー・ゴメスでしたしね。3点リードしたことで油断が生まれたのかもしれませんが、アンフィールドで追いつかれてしまったのは失態と言われても仕方ないですね。もっとも、普通のチームならそのままドローで終わるか逆転負けを喫してしまうものですが、最後に勝ってしまうあたりはさすがです。

 それと、プレミアでは鉄板3トップの配置を変化させるなど、クロップ監督がマンネリを防止しようと色々試していますが、小澤さんがおっしゃったように、いかんせんメンバーが昨季とほぼ一緒なので限界はあります。そこも含めて、この好調をいつまで持続できるかが注目ですね。

倉敷 オプションがそれほどないですからね。中盤の駒を見ても、困ったときのジェイムズ・ミルナーという策に落ち着いてしまいます。ジョーダン・ヘンダーソンにしても、ここ数年を見ているとフルタイムでプレーするのは難しい。結局、打つ手がそれほど多くないという状況は昨季と変わっていません。

 守って勝つサッカーを身につけていない以上、常に攻撃し続けないとザルツブルク戦のようなしんどい試合が繰り返されるリスクを感じます。レベルの高いゴールキーパーとセンターバックを擁していながら、それでも守り切るサッカーには移行しない。それがリバプールであり、クロップのサッカーといえばそうなのかもしれません。

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