欧州サッカー通3人が指摘。
レアル&バルサが今季も苦戦必至の理由

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<深刻な「メッシ依存症」のバルセロナ。
グリーズマンが守備で目立つ形になると......>

倉敷 アザールはCLのために獲得した印象もありますものね。では、バルセロナの話に移りましょう。まずは小澤さんからお願いします。

小澤 今季もよくない状態ですね。何より「メッシ依存症」が深刻化しています。リオネル・メッシがいないと別のチームになってしまうことと、フロントが機能していないのが大きな問題です。今夏はスポーツダイレクターを替えてみたものの、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長の下では補強も含めてほとんど機能していません。

 この夏はネイマール問題に揺れたわけですけど、それもメッシ、ルイス・スアレス、ジェラール・ピケらがフロントに要望したことがきっかけとされています。でも、その代わりにイバン・ラキティッチやウスマン・デンベレなどの名前がトレード要員として広まってしまったことで、結果としてラキティッチが戦力外の扱いを受けてシーズンに入っている点など、フロントの失策としか言いようがありません。夏の補強の目玉だったアントワーヌ・グリーズマンもフィットしているとは言い難いですし、あれだけ大金を使いながら、序盤最も活躍しているのが16歳のアンス・ファティですから冗談にもなりません(笑)。

倉敷 今やフロント以上にメッシの力が大きいという印象ですね。メッシが悪いのではなく、無邪気にこういう選手がほしいと彼が望むことで周りが動いてしまう体制が出来上がってしまいました。そして小澤さんがおっしゃるように、ネイマール獲得を巡って相当な数の選手がトレード要員のリストに載りました。それによって、たとえばラキティッチのコンディションとモチチベーションはかなり落ちました。気の毒です。彼は1月にクラブを離れるという噂も出ています。リストに名前が載った他の選手も監督も大きな影響を受けましたね。

中山 同じ時期、パリでも同じ現象が起こりました。パリにとってもネイマールが残るか残らないかで今季のチーム作りが大きく変わるわけで、あの状況で監督にチーム作りを進めろというのが無理な話です。そもそも、バルサは本気でネイマールの獲得交渉をしていたのかという疑問もあります。あれはメッシに対するポーズであって、実際はそこまで本気ではなかったのかなと勘繰ってしまいます。

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