若手とベイルを宝の持ち腐れにしないため、ギグス監督は何をすべき? (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 もうひとり、ギグス体制の主軸として稼働しているのがMFイーサン・アンパドゥ(19歳)だ。キャリアをスタートしたエクセター・シティ(英4部)では弱冠15歳でデビューし、2年前にチェルシーへ移籍。茶色のドレッドヘアがトレードマークで、今シーズンはドイツ1部のライプツィヒに期限付き移籍中だ。

 守備的MFとセンターバックのふたつのポジションをこなし、確かな足技と読みのいい守備を持ち味とする。その姿はブラジル代表のダビド・ルイス(アーセナル)とも重なる。ギグス監督は予選第3節から守備的MFとして先発起用し、クロアチア戦でも負傷交代する後半5分までピッチを走り回った。

 リバプールからボーンマスに期限付き移籍中のMFハリー・ウィルソン(22歳)も、すでにウェールズの中心選手だ。昨シーズンは英2部のダービー・カウンティでフランク・ランパード監督の薫陶を受け、選手としてひと回りもふた回りも成長した。

 得点能力が高く、昨シーズンはMFながらチーム最多の15ゴールを挙げた。今シーズン、レンタル移籍先のボーンマスでは、第8節までに3ゴールを奪うなど好調を維持している。

 そのほかにも、精度の高い左足を持つMFデイビッド・ブルックス(22歳/ボーンマス)や、「リバプールのスター候補」と称されるFWベン・ウッドバーン(19歳/英3部のオックスフォード・ユナイテッドにレンタル移籍中)などが控える。両者はケガで10月シリーズに帯同できなかったが、現ウェールズ代表には将来有望な若手がひしめいている。

 ウェールズの目下の課題は、チームとして確固たるプレースタイルを確立することに尽きるだろう。指揮官はスピーディーな攻撃サッカーを目指しているが、実際のところは「個の力」に依存した単発的な攻撃ばかりが目立つ。

 2、3選手が連動して攻めるシーンは少なく、英紙デイリー・テレグラフも「攻撃が停滞することが多い。アイデア不足も顕著」と指摘。ベイルも、若いタレントも、これでは宝の持ち腐れだ。

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