若手とベイルを宝の持ち腐れにしないため、ギグス監督は何をすべき? (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 この結果、ウェールズの成績は2勝2敗2分のグループ4位。2位まで本戦出場の切符が手に入るユーロ予選で、自力での予選突破の可能性が消滅した。

 次節でクロアチアが3位スロバキアに勝利したうえで、ウェールズがアゼルバイジャン戦とハンガリー戦の残り2試合で連勝しなければ、ウェールズの本大会出場は叶わなくなった。プレーオフで最終切符を掴むシナリオもあるが、指揮官としては本望ではないだろう。

 ただ、クロアチアはホームで行なわれる次節スロバキア戦に勝利すれば、首位で本大会出場が決まる。そのため、全力で勝利を奪いにいく可能性が高い。それゆえ、ギグス監督としてはある程度、状況を楽観視できているのだろう。現状は決して易しくないが、試合後の会見で見せた指揮官のリラックスした表情が印象的だった。

 さて、ギグスがウェールズを率いるようになってから、1年9カ月の時間が経過した。スーツ姿もさまになり、クロアチア戦でも90分を通してテクニカルエリアから戦況を見守っていた。

 そのウェールズ代表では、将来有望な若手選手の台頭が目立つ。30歳のベイルを軸としながらも、20歳前後の若手が代表に定着するようになったのだ。

 筆頭は、マンチェスター・ユナイテッドのMFダニエル・ジェームズ(21歳)である。積極果敢なドリブル突破と、敵を置き去りにするスピードが最大の武器。不振を極めるマンチェスター・Uにおいて、数少ない希望の星だ。

 ウェールズ代表では、マンチェスター・U入団前に行なわれたユーロ予選・第1節(2019年3月)から先発中。予選6試合のすべてに先発しており、ギグス監督の期待と評価は非常に高い。

 なお、マンチェスター・Uは当時英2部のスウォンジーでプレーしていたジェームズの視察を重ね、最終的にスカウティングチームが「プレミアで輝く素質がある」として獲得を決めたが、クラブOBのギグス監督の推薦も後押しになったという。クロアチア戦でも4-2-3-1の左MFとして、攻撃にアクセントを加えた。

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