堂安律の効果的な「投資プレー」。代表でもPSVの経験を生かす (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

 そのあたりの連係は、ハーフタイムに話し合って決めたと言う。
 
「今日の相手はマンツーマンでついてくるので、変に自分が動くと味方のスペースを消してしまう。ステーフェン(ベルフワイン)の1点目のゴールは、止まった僕にサイドバックがついてきたから、ステーフェンとDFが1対1になった。僕は(ゴールに直接)関与してないですが、イメージどおり。ステーフェンに1対1の場面を作ってあげれば、相手を崩せるとわかっていましたから」

 65分にベルフワインのクロスからSBデンゼル・ダンフリースが豪快なヘッドで決めたゴールは、CKからの2次攻撃によって生まれた。そのCKを奪えたのは、堂安が浮き玉でFWコーディ・ガクポにくさびを入れたプレーがきっかけだった。

 堂安は右サイドからのカットインシュートを武器とする。しかし、VVVがしっかりとブロックを作って守っている状況のなか、カットインでこじ開けるのは至難の業だ。そこで堂安は、目の前にいる敵の頭上を越すパスによって、その局面を打開しようとしていた。

 3日前に行なわれたヨーロッパリーグのローゼンボリ戦(4-1でPSVの勝利)で2ゴールを決めたFWドニエル・マレンに、堂安はラストパスを2本通して2アシストを記録した。

「やっぱり9番(マレン)は今日も動き出しがいい。彼にチップで出したボールも、今までになかった感覚で出せました」

 PSVに移籍して1カ月――。ベルフワインやマレンなど、攻撃の主軸たちとの連係も徐々に高まっているように思える。だが、ショートコンビネーションやちょっとしたつなぎのパスで呼吸が合わないシーンも、まだ少なくはない。

「今はコミュニケーションをチームと取っている状況です。監督もそれはわかっている。ただ毎回、すごくいい未来が想像できるようなゲームになっていますね」

 PSVはVVV戦で大量4ゴールを奪ったが、80分間プレーした堂安はゴールもアシストもゼロ。しかし、0-0の均衡を破るまでの「投資のプレー」が評価されたのか、地元紙『アイントホーフェン・ダッハブラット』や全国紙『アルヘメーン・ダッハブラット』は、ともに7という高採点をつけた。

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