2019.10.03

黄金世代の天才、ルイ・コスタ。
ポルトガルの太陽の周囲はいつも晴れ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 準決勝の応援はフェリペ監督が待ち望んでいた熱狂に変わっている。決勝進出が決まった夜、ひなびた漁村では教会前の小さな広場に人々が繰り出して踊った。老夫婦ばかりだったが、それも微笑ましかった。リスボンの公園では若者が一晩中ボールを蹴り、やることがない女の子たちは、傍らでおしゃべりしながらヘタクソなプレーを見守っていた。

 ルイ・コスタは決勝を最後に代表から退くことを発表する。ファイナルの相手は開幕戦と同じギリシャ。試合は0-1で敗れている。ルイ・コスタは交代出場すると、力の限りプレーしたが、ギリシャの堅陣は崩れなかった。開幕に敗れてから復活、決勝にたどりつくまでのシナリオが完璧だっただけに、まるでエンディングだけ間違えてしまった映画のようだった。

 5万4000人を集めたベンフィカでの引退試合。「運がなかったと思うか?」と問われたルイ・コスタは、「最後の試合に5万4000人も集まってくれた。運はいいと思うよ」と答えている。

 逆境でも、いつも彼のまわりだけは晴れていた。

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