2019.10.03

黄金世代の天才、ルイ・コスタ。
ポルトガルの太陽の周囲はいつも晴れ

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ルイ・コスタ、ルイス・フィーゴ、パウロ・ソウザ、ジョアン・ピントらの、めくるめく攻撃はユーロ1996でも再現されてベスト8。次のユーロ2000ではベスト4に入っている。ところが、W杯には不思議と縁がなく、98年は予選敗退、02年はグループリーグ敗退。06年はベスト4だったが、すでに黄金世代はほとんどいなかった。

 ポルトガルで開催されたユーロ2004は、その意味で黄金世代の総決算だったといえる。

ポルトガルの太陽

「優勝? どこが? ポルトガルが? 無理だよ、無理(笑)」

 ユーロ2004の開幕前、現地で何人かに聞いてみたが、「優勝だ」と答えた人は誰もいなかった。この大会のほんの少し前、ポルトはチャンピオンズリーグで優勝している。そのメンバーもポルトガル代表に入っていた。にもかかわらず、この弱気はなんなのかと。

「イタリアかブラジルでしょ。今回ブラジルは出ないからイタリアだね」

 携帯電話ショップのお兄さんがそう言うのを、隣のお姉さんもうなずくばかり。挙げ句に、

「ダメよ、この国の男は」

 ポルトガル人は顔のパーツが濃いわりに威圧感がない。タレ目が多いせいだろうか。性格も他のヨーロッパ人と比べると控え目で温和、真面目。彼らは普通にドイツやフランスを指して「ヨーロッパは」と言う。自分たちもヨーロッパなのにその自覚がなかった。

 ルイ・コスタはハンサムでパーツも濃いが、少しタレ目のせいか、やっぱり威圧感はなかった。街中には彼の広告写真が溢れていた。イチオシの大スター。ポルトガル人らしいスター。それでいて、暗い影さえ明るく照らしてくれるような。

 監督は2年前にブラジルを率いてW杯優勝を成し遂げた男、ルイス・フェリペ・スコラーリ。勝つためには手段を選ばぬ男。開幕前日、記者会見のフェリポン(※スコラーリ監督の愛称)は妙によく喋っていた。相変わらずぶっきらぼうだが、ギリシャ戦の作戦まで喋ってしまっている。ちょっとニコニコしていて、何かヘンだった。