非凡な久保建英に回り始めたパス。いまは代表よりレアル戦を優先せよ (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 久保は先発フル出場。これでようやくスタートラインに立ったという印象だ。チームメートの見る目も変わってきている。乗っていきたいところだが、スケジュールに目をやれば、10月10日、15日には日本代表戦が控えている。ホームのモンゴル戦とアウェーのタジキスタン戦だ。

 久保は今回も招集されることになるのか。筆者は、それは久保の成長の妨げになると考える。前回はマジョルカで1試合、交代出場するや、早くもチームを離れて帰国。日本代表合宿に合流した。結局、10日以上もチームを離れることになった。チームに馴染むのに時間がかかった原因と言っていい。

 今回は19日にレアル・マドリード戦が控えている。アピールする絶好の機会である。いまはチームから離れるべきではないタイミングだ。森保監督はそれでも久保を招集するつもりなのか。

 繰り返すがまだ18歳だ。何よりまだ身体ができていない。このアトレティコ戦でも久保は終盤、くたくただった。その身体にエネルギーは残っていなかった。見ていて痛々しいぐらい疲れ切っていた。交代枠を使い切ってしまったために、そのような姿をさらけ出すことになったわけだが、のるかそるか、微妙な時期を迎えている18歳には、細心の注意が必要なのだ。変にフル稼働させてはいけない。

 怪我の心配もある。かつて19歳の小野伸二が、シドニー五輪予選で、フィリピン相手に猛タックルを受けた過去を忘れてはいけない。休ませることも必要なのだ。19日のレアル・マドリード戦に久保が準備万端の態勢で臨むことは、日本代表がモンゴルやタジキスタンに大勝することよりはるかに重要なのである。

 日本代表のメンバー発表は10月3日だ。そこに久保の名前はあるのか。森保一監督の決断が注目される。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る