雑念消えたレバンドフスキが改心。今季最大の「補強」も効き絶好調だ (2ページ目)

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Getty Images

「ミュンヘンで、特別な歴史(=物語)を刻みたいんだ。たくさんの人々や子どもたちが、自分の名前が入ったバイエルンのユニフォームを着ているのを見るとうれしいね。ブンデスリーガで300ゴールだって記録できるかもしれない」と8月28日の『シュポルト・ビルト』誌のなかで、意気込みを話している。

 今月には、レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長が、"白旗"を挙げたことも伝えられた。レバンドフスキの獲得時に、契約解除金(移籍金)を設定すらしなかったバイエルンは、レアル・マドリードと自クラブのエースストライカーに対して、断固とした態度を数年にも渡って示し続けたようだ。

 その一方で、バイエルンもエースの「CL制覇」という夢を叶えるために動き始めた。昨季の終了前には世界王者フランス代表のリュカ・エルナンデスとベンジャマン・パバールの両DFを合計1億1500万ユーロ(約140億円)で獲得。8月には、ブラジル代表のMFフィリペ・コウチーニョ、クロアチア代表のFWイヴァン・ペリシッチ、そしてフランスU-20代表のMFミカエル・キュイザンスを立て続けに獲得し、戦力の拡充を求めるエースの要望に応えた。

 首脳陣と直談判を行なったレバンドフスキも、「とても満足している。今のチームには良いメンバーが揃っている」と今季のフロントの動きに手応えを感じていることを明かしている。

 レバンドフスキが得点を量産できているのは、今季のバイエルンの戦い方のおかげでもある。ニコ・コバチ監督1年目に比べて、2年目の今季はDFラインがさらに高く押し上げられ、CBの2枚が相手陣内でプレーする時間帯も長い。

 対戦相手をゴール前に押し込み、ボールを動かしながら試合を支配し続け、ボールロストの瞬間には素早いゲーゲンプレッシングで再びボールを奪い返してしまう。両ウイングには、フランス代表のキングスレイ・コマンとドイツ代表のセルジュ・ニャブリがピッチの幅を確保しつつ、高速ドリブルでペナルティーエリア内に進入する...。これまで「退屈」と揶揄されてきたバイエルンは、まるでペップ・グアルディオラが率いていた当時のサッカーへの回帰を目指しているようにさえ見える。

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