チェルシーに補強禁止も何のその。若手台頭で「災い転じて福となす」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 リバプール戦後、ランパード監督は次のように語った。

「我々はエナジーと持ち味、たくましい精神力を示すことができた。この点で、チェルシーはリバプールより優れていたと思う。だからこそ、試合に敗れたあとも、観衆が拍手を送ってくれたのだろう。今は前に進むしかない。今日のような試合を毎週見せていけば、いずれホームで勝利できる。

 補強禁止処分は、チェルシーにとってマイナス要素と捉えられている。もちろん、短期的に見ればそのとおりだ。昨シーズンのナンバー9(=ゴンサロ・イグアインとアルバロ・モラタ)もいなくなった。その事実は変えることができない。

 しかし、長期的な視点に立てば、話は変わってくる。たくさんの若手が先発メンバーに名を連ねるようになった。(フィカヨ・)トモリ、メイソン(・マウント)、タミー(・エイブラハム)、カラム(・ハドソン=オドイ)、ルベン(・ロフタス=チーク)らの若い選手たちとともに、ビジョンを持って戦っていけば、補強禁止処分もプラスになるだろう。そう願いたい」

 懸念は、堪忍袋の緒が切れやすいオーナーのロマン・アブラモビッチが、どこまで踏ん張れるか。英メディアによると、補強禁止処分の影響に一定の理解を示しながらも、「来季CL出場権が手に入るリーグ4位以内」をノルマに設定していると言われる。2003年6月のクラブ買収から次々と監督の首をすり替えてきた過去があるだけに、ロシア人オーナーのサポートも必要になるだろう。

 就任1年目での「補強禁止処分」は、大きな障壁になるのは間違いない。その一方で、若手育成の視点に立てば、これ以上大きなチャンスもない。果たして、「災い転じて福となす」とできるか。ランパード監督の手腕に注目だ。

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