競争激化のPSV。堂安律が「カウボーイ」になるために必要なストーリー (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by Getty Images

「1-1になったあと、アヤックスが勝ちにくるのか、我々が勝ちに出たほうがいいのか、そこが難しい判断となり、神経質な試合になった」(ファン・ボメル監督)

 こうして、堂安律にとって初めての『デ・トッパー』は出場機会を得ることなく終わった。

 PSVが誇る、若きカウボーイたち――。オランダ代表デビューを果たしたベルフワインに続き、昨季から頭角を現してきたのがマレンだ。

 昨季はオランダリーグに31試合出場して、10ゴール5アシストを記録。ただ、第10節のフローニンゲン戦で初めてスタメンの座を勝ち取ったが、完全にレギュラーとなったのは第31節からと遅かった。

 ファン・ボメル監督はほぼ毎試合、マレンに出場時間を与えながら大事に育てた。すると、9月の国際マッチウィークでオランダ代表デビューを果たし、いきなりドイツ戦で決勝ゴールという結果を出した。

 ベルフワイン、そしてマレン。すると今度は、イハターレンがスターダムへの道を歩み出した。

 今回の『デ・トッパー』では、マン・オブ・ザ・マッチ級の働きを見せたイハターレンに対し、元アヤックスのラファエル・ファン・デル・ファールトは「ジーザス!」と感嘆の声を挙げ、元フェイエノールトのピエール・ファン・ホーイドンクは「16歳でオランダリーグデビューを果たしたクラレンス・セードルフ(当時アヤックス)と、タイプは違うが同じカテゴリーだ」と称賛した。

 オランダ・ユトレヒト出身のイハターレンは、モロッコにもルーツを持っている。今、オランダでは「サッカー籍をオランダ、モロッコのどちらを取るのか?」という話題で盛り上がっている。

 さらにPSVには、ユース出身のガクポというタレントも台頭してきた。あまりの競争に、19歳のFWザカリア・アブクラルは出場機会を得られないと悟り、「我慢しきれず」(オランダメディア)夏の移籍市場でAZに移ってしまった。堂安にとっても、熾烈なチーム内競争であることに間違いない。

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