トウェンテ中村敬斗が大暴れ。1G1Aに「1レッド、笑えないけど」

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by VI Images/AFLO

 U-20W杯を経験した2人の若者がこの夏、海を渡った。2人はともにオランダ1部リーグでプレーし、そろって開幕戦でゴールを決めている。

 AZの菅原由勢はスタメン争いの真っ只中。そしてトウェンテの中村敬斗は、ここまで全試合に先発している。開幕から2試合連続で得点したあと、3試合ノーゴールが続いたが、第6節のフォルトゥナ・シッタルトとのアウェー戦で4戦ぶりにゴールを決めた。チームも3-2で勝利。PSV、アヤックスなどとの首位争いに食らいついている。

フォルトゥナ・シッタルト戦で先制ゴールを決めた中村敬斗(トウェンテ)フォルトゥナ・シッタルト戦で先制ゴールを決めた中村敬斗(トウェンテ) 中村はこの試合で先制ゴールを決めると、2点目もアシスト。だが、試合後は晴れやかな表情とはいかなかった。前半終了間際、相手サイドバックにボールが入りかけたところにスライディングタックルにいき、一発退場となったのだ。

「ワンゴール、ワンアシスト、ワンレッド。笑えないけど」と、苦笑するしかなかった。

 トウェンテは4-3-3のシステムで、中村は前線の左に入った。この日はピッチコンディションが悪く、多くの選手が芝に足を取られて転び、中村も体勢を変えようとした際に芝に手をつくようなシーンも見られた。

 序盤、右サイドから中村にサイドチェンジのボールが入る。パスの出し手であるアイトール・カンタラピエドラは中村をディフェンスの裏に走らせたかったようだが、意図が合わずにボールは大きく流れ、ゴールキックになった。

「あのシーン、僕はボールを待つか抜け出すかで悩んだけど、彼は1点目みたいな形を狙っていたんだと思う」

 その先制点はまさに、右サイドの敵陣に入ったあたりから、カンタラピエドラがディフェンスラインの裏へと長いボールを送ったことで生まれた。抜け出した中村はそのボールを右足でトラップ。前に出たGKと戻ろうとするDFの隙をついた、フワッとしたシュートをゴールに流しこんだ。

「彼(カンタラピエドラ)は正直、めちゃくちゃうまいんです。1点目はドンピシャ、最高のパスだった」

 そう味方を称えながら、ゴールは最近の練習の成果でもあると説明した。

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