ネイマールに待ち受けるパリでの逆境。
セレソンで得点も立場は厳しい

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki
  • photo by Shaun Clark/Getty Images

 6月以降、私生活では婦女暴行容疑、フットボーラーとしては移籍騒動で世間を騒がせ続けたブラジル代表(セレソン)のエース、ネイマール(パリ・サンジェルマン)が、9月6日と10日のセレソンの強化試合に出場した。6月5日のカタール代表との練習試合で右足首を捻挫して、コパ・アメリカを欠場して以来、代表でもクラブでもプレーしておらず、公式戦のピッチに立つのは3カ月ぶりだった。

ペルー戦では後半18分から途中出場したネイマールペルー戦では後半18分から途中出場したネイマール 6日にマイアミで行なわれたコロンビア戦にはフル出場した。セレソンは、前半19分、ネイマールが蹴った右CKをMFカゼミーロ(レアル・マドリード)が頭で決めて先制。その後、25分と29分に失点してコロンビアに逆転を許したが、後半13分、右SBダニエウ・アウベス(サンパウロ)の右からのグラウンダーのクロスをネイマールが左足で押し込んだ。

 ネイマールは親友ダニ・アウベスの背中に乗って、満面の笑顔。ボールにキスし、感極まった表情で天に祈りを捧げる。そしてベンチへ駆け寄ると、チッチ監督と固く抱き合った。

 試合は2-2の引き分け。ネイマールは1ゴール1アシストと結果を出した。スポーツ紙『ランセ!』は、「前半は試合勘の不足が顕著だったが、後半は動きが鋭くなった」として、チーム最高の7点(10点満点)を与えた。ただし、彼本来の積極的に1対1の勝負を挑んで相手守備陣を切り崩すプレーは、ほとんどなかった。

 その4日後、ロサンゼルスで行なわれたペルー戦では先発を外れ、後半18分からの出場だった。CFロベルト・フィルミーノ(リバプール)の代わりに入り、トップとトップ下の両方の役割をこなそうとしたが、相手DFから厳しいマークを受けて不発。地元メディアから「効果的なプレーがほとんどできなかった」「彼の最適のポジションは左サイドであることを逆に証明した」と酷評された(チームは0-1で敗れた)。

 この代表2連戦、ネイマールにとっては今季初めて公式戦でプレーしたことに最大の意義があった。調子は今ひとつだったが、これはある程度予想されたこと。今後、クラブで常時出場するようになれば、体調は徐々に上向くのではないかと思われる。

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