岡崎慎司は「さくらんぼ」。新天地ウエスカで攻撃的サッカーを追求 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Agencia EFE/AFLO

 強化費に限りがあるなか、岡崎を戦力に加えられたことは"たなぼた"に近い僥倖と言える。

 新たにチームを率いるミチェル監督は、昨シーズンまで1部ラージョ・バジェカーノを率いていた。最下位で降格することになったが、2017-18シーズンに2部で優勝し、1部に昇格させた実績がある。43歳と若いが、ポゼッションを重視した戦術システムを使いこなし、監督としての定評を高めつつある。

 今季のウエスカは開幕以来、3勝1敗。4節終了時点で5位と、昇格圏に位置している。ラス・パルマス、デポルティーボ・ラ・コルーニャ、ヒホンなど1部の常連を撃破。上々のスタートを切った。

 第3節のアルメリア戦は、アウェーゲームにもかかわらず、ボール支配率は65%。アンカーのペドロ・モスケラを中心に、パス本数は相手の倍以上、407本をつないでいる。4-3-3を基調にした能動的な戦いで、ゴール前にも多くの枚数が入る。課題は相手のカウンターをどうやって防ぐか、そして決定力を高めることができるか。

 そこでキーマンになるのが、GKとストライカーだろう。

 スペインのU-21代表GKアルバロ・フェルナンデスは、開幕以来、PKストップも含め、チームを救うセービングを何度も見せている。2016年にはオサスナで、18歳にして1部デビューを果たした。GKとしては異例の抜擢で、非凡なセンスを持つ証と言える。ユース年代の代表をすべて経験しており、スペインの次世代を担うGKのひとりだ。

 そしてストライカーとしてカギを握るのは、岡崎だろう。日本代表として3度のワールドカップに出場。ブンデスリーガで得点をコンスタントに記録し、プレミアリーグでは王者になった。この経歴は、他の選手を圧倒している。

 岡崎は、マラガでもすぐに戦い方に適応し、ボールを引き出す動きで違いを見せ、信頼を勝ち取っていた。周りと連係する力に優れ、そのプレーインテリジェンスは白眉。攻撃重視のチームだけに、その真価を発揮できるはずだ。

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