岡崎慎司は「さくらんぼ」。新天地
ウエスカで攻撃的サッカーを追求

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Agencia EFE/AFLO

 9月8日、日本代表FW岡崎慎司が、2部ウエスカでスペインでのデビューを飾っている。第4節、スポルティング・ヒホン戦の後半40分に登場。1-0リードのまま、勝利で締めくくった。

ヒホン戦でスペインデビューを果たした岡崎慎司(ウエスカ)ヒホン戦でスペインデビューを果たした岡崎慎司(ウエスカ) 今シーズンの岡崎は、2015-16シーズンにプレミアリーグで王者になったレスター・シティから、スペイン2部のマラガに移籍していた。しかしマラガの財政状況は深刻で、リーグ選手登録すら許されなかった。サラリーキャップ制(収入に基づいた年俸総額の上限)の規定に抵触していたのである。

 そしてリーグ開幕後、移籍金0で岡崎を獲得したのが、同じ2部のウエスカだった。

「ケーキの上のさくらんぼ」

 スペイン大手スポーツ紙『アス』は、岡崎をそうたとえている。ケーキをあでやかに飾り、味のアクセントをつけ、仕上げるものだと。岡崎はウエスカの"さくらんぼ"になれるのか?

 昨シーズンまで、ウエスカは1部に在籍していた。最終的に19位となり、力及ばず降格することになったが、失敗とは言えない。それは60年近いクラブ史上、初めての1部での戦いだった。ホームスタジアムの「エル・アルコラス」の収容人数は、8000人弱という規模。彼らはその歴史のほとんどを、4部、3部、2部で過ごしているのだ。

 そもそも、本拠とするウエスカ県は小さな町で、人口はわずか約5万人。カタルーニャ州とバスク州に挟まれ、ピレネー山脈がそびえるアラゴン州にある。ちなみに香川真司が所属するサラゴサも同じ州のサラゴサ県にあるが、こちらは大都市で人口は70万人近い。

 ウエスカのクラブ年間予算は、1000万ユーロ(約12億円)程度。降格後は、1部在籍時代の有力選手をほとんど売り払わざるを得なかった。アルゼンチン人FWでチーム得点王だったエセキエル・アビラは1部のオサスナへ。スペイン人FWエンリク・ガジェゴはヘタフェ、スペイン人MFゴンサロ・メレーロはレバンテ、コロンビア代表FWクチョ・エルナンデスはマジョルカと、それぞれ1部クラブへ移籍した。今シーズンは実に20人前後の選手が入れ替わっている状況だ。

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