バルサとブラジル人スターとの愛憎の歴史。ネイマールに固執した理由 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

 この夏には、2018-19シーズンに「ネイマールの後継者」として迎えられたフィリペ・コウチーニョが、たった1シーズンでバイエルンへ期限付き移籍した。コウチーニョの場合はカンプ・ノウのファンの不興を買った。低調なプレーに対してブーイングを浴びると、これに憤慨。得点後、声援を浴びたのに、両耳をふさぐパフォーマンスで返した。これで両者の関係は悪化の一途を辿り、居場所がなくなった。

 しかし、バルサとブラジル人が溶け合った瞬間のプレーは記憶に残る。ロナウジーニョは、サンティアゴ・ベルナベウで行なわれたレアル・マドリード戦で、満員の観客からスタンディングオベーションを受けた。敵の心も震わすプレーだった。

 ネイマールの喧騒は、サンバのリズムに変わらなかった。徒労感だけを残した。来年の夏、交渉は再開すると言われるが――。

 今シーズンのバルセロナの前線に、ブラジル人選手はひとりもいない。



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