香川真司、日本代表は意識せず連係を高めるのみ。サラゴサで試練の時 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 とはいえ、香川がこのような状況に置かれることも、このような評価になることも、ある程度は想定内だったはずだ。サッカーの質や内容よりも、勝利と勝利に直結するプレーこそが重視される世界だ。香川に求められているのは、サラゴサのサッカーの質を上げることではなく、勝利に導くこと。香川自身も言うように、「最終的には1部昇格に導いてくれるかどうか」、それだけだ。

 香川に預けても得点につながらないとなれば、いくら技巧的に優れていても、時間を作ってくれるプレーを見せても、それとは関係なくカウンターを選択する。それは香川もこれまで経験済みだ。若くて勢いのある選手たちは、結果だけを求めて走り出す。そんなシーンはドルトムントでも見られた。

 だからこそ、勝負はここからなのだ。香川にとって、カウンターとフィジカル勝負のサッカーにアジャストしようとすることは、あまり得策ではないだろう。かといって、黙っていて香川へパスが回るとは限らない。では、どうするのか。

 今までとの大きな違いは、香川が、日本代表は意識しないというスタンスを決めていることだ。ここから2週間、リーグ戦がオフになる間にチームメイトとコミュニケーションを取り合い、連係を高めることもできる。肉体的、精神的な疲労もここでいったん取り去ることができるはずだ。

 落ち着いて考える時間はある。この時間をいかに有効に使うか。念願の地スペインで、最初の小さな試練が香川に訪れている。



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