食野亮太郎がハーツ移籍後即デビュー。3年後「マンCで輝けるように」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

「戦力としてはもちろんですけど、自分の成長を一番に考えてくれている。普通ならそのチームの目標があって、そのための戦力として呼ばれるんですけど、ハーツは『成長もしっかり手助けする』と言ってくれている。そういったところも(移籍の)決め手になりました。

 食野はマンチェスター・Cと4年契約を結んだ。

「今年がヨーロッパの1シーズン目なので、『まず試合に出てこい』と言われて。2シーズン目でステップアップし、3、4シーズン目でシティに帰れるか、帰れないかというところです。明確なプランを提示してくれたので、『あとは自分ががんばるだけだな』と感じています」

 イギリス到着の翌日に公式戦デビューを飾ったのだから、また驚いた。

 食野は大阪を出発すると、上海とロンドンで飛行機を2回乗り換え、入団会見の当日朝にスコットランドのエジンバラに到着。食野は「上海→ロンドン間は12時間かかるんですが、そのうち10時間は寝てました。起きたら、『もうロンドンか!』って」と笑ったが、さすがに長時間移動の疲労を考えると、翌日の試合ではプレーできないだろうと思った。

 だが、ハーツの考えは違った。

 食野がエジンバラ空港に着いたのが、イギリス時間8月30日の午前9時。普通ならその日の練習は軽く汗を流すぐらいだが、なんと同日午後からチーム練習に参加したという。しかも、本来ならチーム練習は午前に行なわれるが、食野の到着に合わせて全体練習の時間を午後に変更。試合前日の会見でも、クレイグ・レビーン監督が食野の起用を示唆していた。

 実際、食野はハミルトン戦でベンチ入りして、負傷者が出た前半31分から途中交代で出場。ホームで公式戦デビューを果たした。

 振り返れば、この1カ月はドタバタ続きだった。マンチェスター・Cへの移籍が完了したのは、市場が閉まるわずか6分前。その後も、英労働ビザを取得できるどうかの不透明な状況が続き、「この1カ月、生きた心地がしなかった」と食野は笑う。

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