揺らぐバルサ、レアルの牙城。
リーガに波乱を起こすチームはどこか

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AP/AFLO

<メッシ・ロナウド時代>

 過去10年ほど、リーガ・エスパニョーラは2人のスーパースターを中心に動いていた。それは同時にバルセロナ、レアル・マドリードの"絶対王権時代"だった。それは国内だけでなく、欧州全体についても当てはまり、2013-14シーズンから2017-18シーズンまでの5シーズン、どちらかのチームが欧州王者に君臨した。

 しかし昨シーズン、クリスティアーノ・ロナウドがセリエAのユベントスに移籍。時代はひとつの終焉を迎えている。均衡は崩れ、群雄割拠の様相を呈しつつある。

 来るべき2019-20シーズン、どこが下剋上を果たすのか。

32歳になったリオネル・メッシが率いるバルセロナ。優勝候補の筆頭ではあるが...32歳になったリオネル・メッシが率いるバルセロナ。優勝候補の筆頭ではあるが... 総合力を考えれば、リオネル・メッシを擁する昨季の王者バルサが中心になる可能性は高い。日本ツアーでは、チェルシーに1-2で敗れたものの、ヴィッセル神戸に2-0で勝利し、カンプ・ノウで行なわれた「ガンペール杯」ではアーセナルに2-1で快勝。そして、米国ツアーではナポリとの2試合で連勝を飾っている。

 メッシが不在のなか、ナポリとの2試合目では新加入のフランス代表アントワーヌ・グリーズマンが存在感を示した。ルイス・スアレス、ウスマン・デンベレとの3トップは、合計4点と猛威を振るった。同じく新たに加わったオランダ代表フレンキー・デ・ヨングも自在のプレーメイキングで、「新時代の旗手」のような予感を感じさせる。

 一方、復権を目指すレアル・マドリードはジネディーヌ・ジダン監督が復帰したが、プレシーズンは低調な戦いが続いている。

 絶対的ゴールゲッターだったロナウドがいなくなって、戦い方の変更を余儀なくされた。ジダン監督はリトリートからのカウンターではなく、プレッシングとポゼッションを新機軸にしたが、戦術は浸透していない。エデン・アザール、ルカ・ヨビッチなど新加入選手が?み合わず、ローマ戦は3バックで挑むも守備が蹂躙を許した。

 クラブはネイマール獲得競争にも参戦したが、ジダン監督が熱望したポール・ポグバ(万チェスター・ユナイテッド)を獲得することはできていない。一方、ガレス・ベイル、ハメス・ロドリゲスら構想外の有力選手は売却できないまま。進境著しい久保建英の処遇など、混とんとしたチーム状況と言える。

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