堂安律、18m弾で存在感。後輩・中村敬斗「迫力がヤバかった」 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 結果、後半アディショナルタイムにトゥウェンテがカウンターから加点し、3−1で終了のホイッスルがなった。だが、フローニンゲンのサポーターはスタンディングオベーションで、ピッチ上でうなだれる選手たちを労った。負けてなお、満足――。観客の顔には、そうハッキリ書いてあった。

 チャンスすら生まれる気配のなかった状況から、堂安はゴールを決めてスタジアムの空気を変えた。疲労が溜まったゲーム終盤で、よく豪快かつ抑えの利いたシュートを打てたものだと思う。堂安のゴールを現地で見ていて、「フローニンゲンのプライドを護ったゴールだった」と感じた。

「最後の20分、30分は、『本当に何かしないと......』と思ってピッチに立っていました。キャプテンになったからかはわからないですが、『自分のために』というより、『フローニンゲンのためにがんばろう』と。サポーターがすごく応援してくれていたのも感じていました。失点したあとも拍手してくれましたし、そういう意味でもゴールできてよかったです」

 11人対11人の状況では、明らかにフローニンゲンが試合を支配していた。しかし、納得のいかない判定で、PKはトゥエンテが2回、フローニンゲンが1回。レフェリーに文句のひとつやふたつ、言いたくもなるはずだが......。

「審判に文句を言うのは簡単だけど、それを僕が言う必要はないと思います。これもサッカー。ふたり退場したので、『これで勝ったら、かっこいいな』と思って後半はピッチに入った。そういう気持ちを持った選手が、今日は(自分以外にも)多かったと思う。最後に気持ちを見せることができました」

 後半、キャプテンを任された堂安のプレーを見ていて、背中でチームを引っ張っているように思えた。その気持ちを伝えると、「それしかないですね」と堂安は答えた。

「うまく英語もしゃべれませんし、審判に何か文句を言えるわけでもない。だがら、僕ができることをすべてやろうと思った。僕自身にとっても、いいきっかけになったゲームかな」

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