堂安律、18m弾で存在感。
後輩・中村敬斗「迫力がヤバかった」

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 8月10日に行なわれたエールディビジ第2節「フローニンゲン対トゥウェンテ」は、再三VARの介入によってストップしたことで、徐々に試合は荒れていってしまった。40分にはトゥウェンテのカウンターを故意のファウルで止めたMFラモン・パスカル・ルンドクヴィストが、前半アディショナルタイムには相手のすねにスパイクを入れたDFミケ・テ・ウィーリクが退場となり、フローニンゲンは9人になった。

オランダで初めてチャプテンマークを巻いた堂安律オランダで初めてチャプテンマークを巻いた堂安律 テ・ウィーリクはフローニンゲンのキャプテンだ。レッドカードをもらってロッカールームに引き上げる際、デニー・バイス監督が「律だ!」と叫ぶと、キャプテンマークはテ・ウィーリクからMF堂安律へと渡った。

「あ、俺か!?」。堂安はビックリしたという。主将退場というアクシデントがあったとはいえ、堂安はオランダリーグ3年目で初めてキャプテンを任された。

 9人で後半を戦うフローニンゲンは自陣に後退して守備を固め、試合を0−0のまま進めながら終盤のワンチャンスを待ちながら戦った。しかし、55分にトゥウェンテのFW中村敬斗にFKを直接決められ、先制ゴールを与えてしまった。さらに70分にはPKからFWアイトール・カンタラピエドラに追加点を奪われ、これで勝負はついてしまったかに思われた。

 だが、堂安の一発がスタジアムの雰囲気をガラリと変えた。

 84分、GKセルジオ・パットがFWチャーリソン・ベンスホップにめがけてロングキックを蹴り、そのこぼれ球が堂安の前に落ちた。ゴールまでの距離、およそ18メートル。堂安は迷いなく左足を振り抜くと、ミドルシュートは見事にゴール右隅に吸い込まれていった。

 その瞬間、観客席に漂っていた「今日はもう無理なんじゃないか......」という空気が一変。サポーターたちが「田舎者(フローニンゲン)はギブアップしないんだ!」というチャントを合唱し始めると、数的不利のフローニンゲンがトゥウェンテを圧倒し始めた。堂安も相手DFに身体を寄せてプレッシャーをかけ、スライディングタックルでボールを奪おうと食らいついていった。

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