冨安健洋が体感する守備の国イタリアの細かさ。「毎日が刺激」 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by AFLO

「周りとの連係というのもまだまだだし、僕自身も思い切ってできていないところがある。迷いながらやっているというか、どこにポジションを取って何をすべきかというのがはっきりしていないので、コーチとも話さないといけないですね」

 伝統的に守備が重要視されるセリエAの最終ラインともなると、だいぶ難易度が上がるようだ。

「たしかに細かいですね。ベルギーの時は、どちらかというとマンツーマンで、人対人という感じでした。日本にいた時は組織的に守備をしていたので、それも僕にとっては新鮮でしたけど、イタリアに来たら、より細かく、繊細な守備を求められる。簡単じゃないですね」

 組織で守った日本、戦術よりも個人の能力で1対1が重視されたベルギー。それに対してイタリアはまた感触が違うようだ。周囲との連係が取れないことに加えて、言葉の問題もあり、攻撃面もまだ課題だらけだという。

「パスコースもない感じがする。僕にとっては、ボールを受ける前のポジショニングというのはかなり大事なんです。その、ボールを受ける前のポジショニングが定まっていないから、ボール持った時に『コースがないな』と感じるし、(相手の)プレッシャーも感じる。まずはそこを何とかしないと、ですね」

 課題ばかりが口をついて出るが、それでも新天地でのチャレンジに、その表情は生き生きとしている。

「楽しいですけど、まだまだって感じです。簡単じゃないのはわかっていましたけど、毎日が刺激だし、少しずつやっていかないといけないですね」

 今後、ボローニャはコッパ・イタリア1回戦を経て、8月25日にリーグ開幕戦を迎える。初戦の相手はヴェローナ。順調にステップアップを果たした冨安が、「守備の国」でどんなプレーを見せてくれるか、楽しみである。

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