2019.08.11

香川真司が移籍したサラゴサの実状。
指揮する名将は胸の高まりを吐露

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by MarcaMedia/AFLO

 そして、当時のチームを率いていたのが、現在も指揮を執るⅤ・フェルナンデス監督だった。

 2006年、Ⅴ・フェルナンデスは2度目のサラゴサ監督を経験している。パブロ・アイマール、アンドレス・ダレッサンドロ、ディエゴ・ミリート、ガブリエル・ミリートのアルゼンチン人選手の攻撃的キャラクターを存分に引き出し、リーグ戦6位でUEFAカップ(現行のヨーロッパリーグ)出場権を獲得。また、ジェラール・ピケ、アルベルト・セラーデス、セルヒオ・ガルシアなどバルサの下部組織出身の選手も巧みに起用した。

「Ⅴ・フェルナンデスのもとでプレーしたい。サッカーを楽しめる」

 その指導は有力選手の人気を集め、ファビアン・アジャラ、リカルド・オリベイラのような実力派を招き寄せた。

 Ⅴ・フェルナンデスは攻撃サッカーの信奉者として知られ、セルビアの名将ラドミール・アンティッチの影響を強く受けている。アイマールのようなファンタジスタを用いるのを好み、その点、香川に高い評価を与えるのも不思議ではない。プロサッカー選手の経験はない一方、戦術家としての非凡さは、同じく選手経験のないアリゴ・サッキやジョゼ・モウリーニョと比較されてきた。

 そして2018年12月、”レジェンド”は再び監督の座に就く。Ⅴ・フェルナンデスの出番は今回で3度目となる。

 サラゴサは2013年に2部に降格して以来、低迷期を迎えている。ランコ・ポポビッチ、ルイス・カレーラスの監督時代を経て、不振は深まった。過去2年で6人もの監督が入れ替わっているのだ。

 昨シーズンは15位に終わり、同じ轍は踏めない。2019-20シーズンの開幕に向けては、プレシーズンマッチで下位リーグのクラブに連勝した後、1部アラベスにPK戦の末に勝利するなど、仕上がりは上々と言える。

 GKにはアルゼンチン人の”PKストッパー”クリスティアン・アルバレス、中盤はハビ・ロスが君臨し、前線にはガーナ代表FWラファエル・ドワミナ、コロンビア人ルイス・スアレスを擁する。柴崎岳のデポルティーボ・ラ・コルーニャや岡崎慎司のマラガと比べると、全体の戦力としてはやや劣るものの、香川の加入で化学反応を起こしたいところだろう。