3連覇は最低ノルマ。国内最強のPSGに課せられたハードルが高すぎる (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 また、ポルトガル人アンドレ・ビラス・ボアスが新監督に就任したマルセイユに至っては、リヨン以上に寂しい夏を過ごしている。このままでは、今シーズンもCL出場権獲得は厳しいと言わざるを得ない。

 移籍金を投じた今夏の補強は、マリオ・バロテッリ(無所属)が去った代わりに獲得したアルゼンチン人FWダリオ・ベネデット(前ボカ・ジュニオルス)のみ。最大の補強ポイントだったCBには、ビジャレアルからアルバロ・ゴンサレスをローンで獲得した。そこからも、現在クラブが抱える財政事情問題がうかがえる。

 逆に期待できそうなのが、3シーズン前にミラクルを起こしたモナコだ。

 昨シーズンはケガ人続出とフロントの迷走によって混乱し、まさかの残留争いを演じる羽目になった。だが、本来の実力からすれば、モナコはCL出場権争いに加わってしかるべき強豪のひとつ。昨シーズン途中に復帰したレオナルド・ジャルディムの手腕を持ってすれば、打倒PSGの最有力と見ていい。

 また、今夏の移籍市場では過多だった人員の整理と、弱点を補うためのピンポイント補強を実行。冬の移籍でアトレティコ・マドリードからローン加入したFWジェルソン・マルティンスの買い取りに成功したほか、昨シーズンのモンペリエ躍進に貢献したGKバンジャマン・ルコントと右SBルベン・アギラールを獲得するなど、戦力アップに成功している。

 現在はFWラダメル・ファルカオの去就に注目が集まるが、仮にファルカオが出ていけばそれに代わるストライカーを獲得する資金力もあるだけに、大きな問題にはならないはず。いずれにしても、ジャルディム監督の戦術浸透が最大のキーポイントとなるだろう。

 それ以外にも、昨シーズン2位のリール、ジュリアン・ステファン監督の手腕によって躍進したリーグカップ王者レンヌ、そして就任2年目を迎えるパトリック・ヴィエラ監督の真価が問われるニースなど、上位争いに加わりそうな中堅チームの存在も注目に値する。

 移籍の噂もある酒井宏樹(マルセイユ)、負傷で開幕戦出場が危ぶまれる昌子源(トゥールーズ)、ストラスブールと契約延長を果たした川島永嗣といった日本人選手の活躍ぶりも含めて、今シーズンのリーグ・アンも見どころの多いシーズンになりそうだ。

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