3連覇は最低ノルマ。国内最強の
PSGに課せられたハードルが高すぎる

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 その他の新戦力としては、前線にパブロ・サラビア(前セビージャ)、中盤にアンデル・エレーラ(前マンチェスター・ユナイテッド)、最終ラインにアブドゥ・ディアロ(前ドルトムント)など、各ラインに即戦力を補強したものの、スタメンを奪えそうな駒はいない。要するに、現有戦力をベースに選手層に厚みを増す補強にとどまっているのだ。

 そして、チームが万全ではない最大の原因となっているのが、ネイマールの去就問題である。

 本人が移籍を希望していることが周知の事実となり、確実に放出の可能性が高まっている。だが、ネイマール獲得に必要な莫大なマネーを用意できるクラブがあるかどうかが最大のネックだ。残留する可能性も十分にあり、その場合、ネイマールはファンやメディアからの逆風にさらされながらプレーせざるを得なくなる。

 もっとも、これら不安要素があったとしても、PSGがリーグ3連覇を果たす可能性は高い。あとは、6年ぶりに復帰したレオナルドSD(スポーツディレクター)が大物補強の案件を、いかに実現できるかに注目が集まる。

 一方、打倒PSGの筆頭候補リヨンは、7連覇を果たした黄金期の中心選手ジュニーニョ・ペルナンブカーノが新SDに就任したことで、ひとつの転換期を迎えている。その象徴が、旧ユーゴのウラジミール・コバチェヴィッチ(1981〜1983年)以来、クラブ史上ふたり目の外国人監督となったブラジル人のシウヴィーニョ新監督の招聘だ。

 しかし、シウヴィーニョにはアシスタントコーチの経験しかなく、監督は初挑戦。新SDがU-23ブラジル代表コーチだった彼を引き抜いた格好だが、この大博打が吉と出るか凶と出るかが、今シーズンの行方を左右する最大のポイントになりそうだ。

 しかも、今夏はFWナビル・フェキル(ベティス)、MFタンギ・エンドンベレ(トッテナム・ホットスパー)、左SBフェルランド・メンディ(レアル・マドリード)を放出。莫大な移籍金収入を手にした一方で、新戦力補強ではリールからMFチアゴ・メンデスと左SBユスフ・コネ、そしてサンプドリアからCBヨアキム・アンデルセンを獲得した程度。まだ本気で打倒PSGを誓ったとは言えないのが実情だ。

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